健康や美容に興味がある方なら、一度は「プラセンタ」という用語を目や耳にしたことがあるのではないでしょうか。
健康食品や化粧品などで使用されていて、現代ではテレビや雑誌で広告宣伝されていることが多くなっています。

一般的にプラセンタには副作用がないと言われているため、プラセンタの使用を検討している方もいるでしょう。
ただし、インターネットでの口コミでは「体調が悪くなった」「生理痛がひどくなった」などと書かれていることから、試すのが不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

今回はプラセンタについて、副作用や安全性などプラセンタを使用する際に知っておいたほうがよいことを中心に詳しく解説します。

プラセンタとは?

プラセンタ(英語名:Placenta)とは、哺乳類が胎児を育てる胎盤のことです。

母体の子宮内腔に形成され、母体と胎児の臍帯(せいたい)を連絡する器官となっています。

医療や医薬品の業界では「胎盤」より、英語名が広く使われています。
プラセンタのおもな摂取方法は「注射」または「内服(サプリやドリンクなど)」の2種類です。

プラセンタ注射

プラセンタ注射薬は医療用に使われていて、厚生労働省が医薬品として認可しています。
「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類があり、いずれも日本国内の産婦人科で健康な母親から正常分娩で生まれた胎盤を使用して作られたものです。
以下の表は、メルスモンとラエンネックの特徴や違いをまとめたものです。

比較項目 メルスモン ラエンネック
効果/効能 更年期障害・乳汁分泌不全のサポート 慢性肝疾患のサポート
製法 加水分解法 (プラセンタの細胞膜を強酸で分解し、エキスを抽出) 分子分画法 (必要な成分のみを特殊なフィルターで抽出)
添加物 ベンジルアルコールなど [2]pH調整剤、ペプシン(ブタ、胃粘膜)乳糖(ウシ、乳)など
特徴 痛みを和らげる成分を含む 1本(2ml)あたりの胎盤含有率がメルスモンより10%程度多い

プラセンタ内服

プラセンタは注射で処方するのみではなく、サプリメントやドリンク(飲むプラセンタ)として取り入れる手段があります。

プラセンタ内服は、医療機関でのみ購入できる医薬品とインターネットなどで市販されているサプリメントやドリンクの2種類があります。
以下の表は、両者の主なメリットとデメリットをまとめたものです。

違いを理解した上で、どちらが自分に合っているか検討しましょう。

比較項目 医療機関でのみ購入できる医薬品 インターネットなどで市販されているサプリメントやドリンク
特徴 ヒト由来のプラセンタを使用 動物由来のプラセンタ(ブタなど)
価格 2〜3万円程度 数千円〜2万円程度
メリット 医薬品としての基準をクリアしているため、一定の品質が保証される 医薬品よりも比較的安い
購入する際には、飲み方や注意点を医師に相談しやすい 購入できる場所が多い(医療機関、インターネットなど)
安価なので継続しやすい
豊富な種類がある
デメリット 手軽に購入できない
良質な製品の見極めが難しい

プラセンタ注射とプラセンタ内服のメリット・デメリット

以下では、プラセンタ注射とプラセンタ内服の違いやメリット・デメリットを解説します。

違いやメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った処方を選びましょう。

比較項目 プラセンタ注射 プラセンタ内服
メリット 即効性がある
厚生労働省が認可した病名に該当する場合は保険適用があり、3割負担で受けられる(更年期障害・乳汁分泌不全)
頻繁に通院する必要がない
外出時に持参できる
デメリット 定期的な通院が必要となる
注射が苦手な方には向かない
一度でもプラセンタ注射すると、献血できなくなる
製品によっては独特の匂いなど飲みにくい場合がある
効果を得られるまで、時間がかかりやすい

プラセンタの安全性

胎盤には、胎児へ栄養を供給するだけでなく、胎児にとって危険な物質が届かなくするための防波堤のような役割を果たしています。
そのため、母体の病気や食べ物次第では有害物質が含まれている可能性があります。
ただし、最終的には加熱滅菌処理しているため、安全性が高いと考えてよいでしょう。

プラセンタ注射を受けている方は、ヒト型の狂牛病の「変異型クロイツフェルトヤコブ病」の感染予防対策として、検査方法が見つかるまでは献血制限にかかります。

ただ、2024年8月現在では、プラセンタによる感染報告はありません。

プラセンタの副作用

インターネットでは、プラセンタを使用して体調が悪くなったり生理痛がひどくなったりした口コミがあるため、「プラセンタには副作用があるのではないか」と不安になる方もいるでしょう。

注射した箇所が痛くなったり腫れたりすることがありますが、命に関わるような重大な副作用の報告例はありません。
ただ、アレルギー反応が出ることがあるため、アレルギー体質の方は原材料の確認とともに医師の指導を受けたほうがよいでしょう。

プラセンタのおもな成分

プラセンタには、健康や美容に役立つ栄養成分が含まれているといわれています。
ビタミンやミネラルの他にも、以下のような栄養成分が含まれています。

アミノ酸

アミノ酸とは、たんぱく質を構成するために必要な有機化合物です。
アミノ酸は20種類あり、ひとつでも欠けるとたんぱく質の合成ができなくなります。

20種類のアミノ酸のうち、人や動物が体内で作れないアミノ酸を「必須アミノ酸」、体内で糖質や脂質から作り出せるアミノ酸を「非必須アミノ酸」と呼んでいます。

必須アミノ酸 非必須アミノ酸
イソロイシン チロシン
ロイシン システイン
リジン アスパラギン酸
メチオニン アスパラギン
フェニルアラニン セリン
トレオニン(スレオニン) グルタミン酸
トリプトファン グルタミン
バリン プロリン
ヒスチジン グリシン
アルギニン※子どもの場合 アラニン

※アルギニンは体内で必要量を合成できない子どもにとっては必須アミノ酸です。

一般的には、アミノ酸が50個以上連なっているものがたんぱく質と呼ばれています。
アミノ酸は単体で構成されているため、たんぱく質と比べると吸収率が高いと考えられます。

核酸

核酸とは、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸 (RNA)の総称です。
RNAは、DNAの情報に基づいてたんぱく質を合成するといわれています。

ペプチド

ペプチドとは、アミノ酸が2〜50個程度連なっているものです。
アミノ酸と同様にたんぱく質と比べると分子量が小さいため、吸収率が高いと考えられています。

プラセンタのおもな効果

プラセンタには、以下のような効果があるといわれています。
※これらの効果には、個人差があります。

1.抗酸化作用

プラセンタに含まれる成分には、抗酸化作用が報告されており、肌の健康維持に役立つ可能性があります。

参照:ResearchGate|Purification and Identification of Antioxidant Substances in Human-Placenta Extracts

2.抗炎症作用

プラセンタには抗炎症作用が報告されており、健康のサポートとして利用されることがあります。。

参照:National Library of Medicine|Placental extract protects bone marrow-derived stem/progenitor cells against radiation injury through anti-inflammatory activity

3.抗老化作用

老化の原因になるといわれている活性酸素の発生を抑える働きが報告されており、美容やエイジングケアのサポートが期待されています。

参照:National Library of Medicine|Food supplement 20070721-GX may increase CD34+ stem cells and telomerase activity

4.遺伝子修復作用(放射線障害の回復)

一部の動物実験では、プラセンタの注射が細胞の保護に寄与する結果が報告されています。

通常なら20日以内に死亡する放射線量を浴びたマウスでも、プラセンタを注射しておけば200日も健常な状態で生きられる実験結果があります。

参照:National Library of Medicine|Restorative effects of human placenta extract in X-ray-irradiated mice

プラセンタを注射する用量や回数

プラセンタ注射を受ける場合は、医療機関へ通院する必要があります。

プラセンタ注射を検討している方は、一度にどのくらいの用量でどのくらいの頻度で通えばよいのか気になるところでしょう。

治療目的や症状によって異なりますが、注射の場合はおおよそ以下のとおりといわれています。
一つの参考としてご確認ください。

用法・用量の基本

用法・用量は、保険診療の場合と自由診療の場合とで異なります。

●保険診療の場合

・通常1回1A(アンプル)を週2回皮下注射する(重症の場合は週3回)
・効果を感じるまで3〜6ヶ月程度かかることが多い

●自由診療の場合

・症状によって、1〜10Aの範囲内で適宜増減し、上腕外側か臀部に注射する
・5A以上注射するときは、2箇所に分けて注射する(個人差あり)

プラセンタ注射の効果の高め方

効果は個人差がありますが、最初の3ヶ月間は治療間隔を短くした方が効果を実感しやすいといわれています。
以下は1回の通院時におけるプラセンタ注射の効果を高めるための用量です。
あくまで目安なので、一つの参考にしてください。

  • 週2回通院:2〜3A/回
  • 週1回通院:3〜4A/回
  • 10〜14日に1回通院:4〜6A/回
  • 3週間に1回通院:6〜8A/回
  • 1ヶ月に1回:8〜10A/回

治療目的による注射・通院の目安

治療目的による注射の場合は、疾患の種類によって通院頻度や通院期間が変わるのが一般的です。
以下の表は、一つの目安として参考にしてください。

疾患名 通院頻度 期間(目安)
更年期障害・乳汁分泌不全 週1〜2回(重症度に応じる) 3〜6ヶ月
月経困難・月経不順 週1〜2回 3〜6ヶ月
花粉症 週1回 3ヶ月
アトピー性皮膚炎 週1〜2回(重症度に応じる) 3〜12ヶ月
気管支喘息 週1〜2回(重症度に応じる) 3〜12ヶ月
慢性肝炎 週1〜3回(重症度に応じる) 6〜12ヶ月
関節リマウチ 週1〜3回(重症度に応じる) 6〜12ヶ月
抗疲労効果 適宜 6〜12ヶ月

参照:ひのわクリニック鶴見|プラセンタ注射をする用量と回数は?

プラセンタを内服する用量や回数

医療機関やクリニックでプラセンタの内服薬をもらったり、市販のドリンクやサプリメントでプラセンタを取り入れることができます。
プラセンタ内服についてご紹介します。

用法・用量の基本

注射と異なり、期間が決まっているわけではありません。
容量については、製品の指示にしたがいましょう。

即効性はありませんが、毎日摂取できる点が良い点です。
市販の製品については種類が豊富なため、飲む頻度や量など、無理なく続けられるものを選びましょう。

おすすめのプラセンタサプリメント

  • 価格:1,480円
  • 容量:60粒(1日2粒目安)
  • 形状:ソフトカプセル

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プラセンタに関する正しい知識を学んでから取り入れよう

今回はプラセンタについて、副作用や安全性などプラセンタを使用する際に知っておいたほうがよいことを中心に詳しく解説しました。

プラセンタの摂取方法は、注射と内服(サプリやドリンクなど)の2種類があります。
それぞれの特徴やデメリット・メリットを知った上で、自分に合った方法を選ぶようにしましょう。

また、プラセンタの安全性が取り上げられることがありますが、最終的に加熱滅菌処理しているため安全性は高くなっています。
ただし、アレルギー体質の方は副作用が生じる可能性があるため、原材料の確認とともに医師の指導を受けたほうがよいでしょう。

プラセンタについては様々な情報が溢れています。
正しい情報を身に付け、生活に役立てましょう。