PMS(Premenstrual Syndrome/月経前症候群)とは、日本人女性の50〜80% が抱えている月経に関連する心身の症状です。

PMSの症状は人によってさまざまなので、原因や対策を知った上でPMSの時期を前向きに過ごしていくことが大事になってきます。

現代の女性は、生涯における月経の回数が400~450回 と昔と比較して 増えているため、月経と向き合っていくことは女性の健康課題の一つといえるでしょう。

この記事では、PMSについて症状や原因、対策を徹底解説します。PMSでお悩みの方はぜひ最後まで読み進めていただき、今後の参考にしてください。

PMS(月経前症候群)とは?

PMSとは、月経前の3~10日の間程度続く精神的または身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものです。

そのため、PMSの症状が出たとしても「いつものことだから仕方ない」と特に対策を練らずに現状維持してしまっている方も多いでしょう。

それぞれに合った対策を練られるようにするためにも、PMSの症状にはどのようなものがあるのか知ることが大事です。

PMSのおもな症状

PMSの症状は、身体と心、行動に出やすくなります。

すべてで200種類以上ある ともいわれていて、以下で紹介する症状の中には、月経前に感じたことのある症状 があるのではないでしょうか。詳しく解説していきます。

身体の症状

PMSにおけるおもな身体の症状と具体例は、下記のとおりです。
頭痛やめまい、眠くなるなどのだるさを感じることが多くなるといえます。

症状 具体例
頭痛 月経直前になると、頭痛薬が効かなくなるような頭痛がする
偏頭痛がする
むくみ 朝から顔がむくみ、人前に出たくなくなる
身体に何か溜まっているような感じがする
めまい・動悸 激しく運動していないにもかかわらず、クラクラすることがある
突然胸がドキドキして、不安な気持ちにかられる
眠くなる 仕事中も眠くなることが多く、集中力に欠ける
ぼーっとしてしまい、ミスが増える
微熱 熱っぽくなって、身体がだるい
肌荒れ・にきび 肌のきめや化粧ののりが悪くなる
あごにニキビができる
だるさ・疲れ 仕事や家事が面倒に感じる
話しかけられたときの返答が雑になる
胸が張る 胸が揺れたときに痛みを感じる
ブラジャーがきつく感じる
便秘 お腹が張って苦しく感じる

心の症状

PMSにおけるおもな心の症状と具体例は、下記のとおりです。
イライラしたり情緒不安定になったり、浮き沈みが大きくなるのが特徴といえます。

症状 具体例
イライラ 普段なら気にならないことが気になり、不機嫌になる
怒りの感情が抑えられなくなる
情緒不安定 特に理由がなく、涙が出てくる
​​気分の波が激しくなる
うつ症状 集中力の低下が目立つ
すべてがどうでもよくなり、無気力となる
不安感 漠然とした不安に押しつぶされそうになる
気持ちが落ち着かず、そわそわする

行動の症状

PMSにおけるおもな行動の症状と具体例は、下記のとおりです。
普段だったら我慢できるものが我慢できなくなるなど、思いがけない行動に出やすいといえます。

症状 具体例
甘いものが食べたくなる お腹いっぱいなのに、さらにアイスを食べてしまう
コンビニでお菓子を衝動買いしてしまう
食欲が増す ・食べても食べても満足しない
食べてはいけないとわかっているのに、夜中につまみ食いしてしまう
思わず衝動買いが増える 無性に買い物したくなる
普段は慎重なのに、迷わず購入してしまう

どうしてPMSになるの?

PMSになるはっきりとした原因は不明です。

ただ、排卵から月経までの期間に女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因ではないかと考えられています。

PMSの症状に個人差があるのはなぜ?

PMSの症状には、軽いものから日常・社会生活に支障をきたす程度の重いものまでさまざまで個人差があります。

ただ、以下に該当するような方はPMSの症状が出やすいといわれています。

  • 慢性的なストレス
  • 性格(真面目、几帳面、完璧主義、負けず嫌いなど)
  • 食生活(不規則、栄養バランスが乱れているなど)
  • 嗜好品(飲酒、喫煙、カフェイン過多など)
  • 自律神経の乱れ

PMSに近しい月経周期に伴う不調

PMSに近しい月経周期に伴う不調として、「月経困難症」「月経前不快気分障害(PMDD)」「更年期障害」があります。
以下では、それぞれについて詳しく解説します。

月経困難症

月経困難症は、月経に随伴して起こる病的症状です。
月経時あるいは月経直前より始まる強い下腹部痛や腰痛をおもな症状としています。

また、月経困難症は以下のような症状を感じやすいといわれています。

  • 下腹痛
  • 腰痛
  • 腹部膨満感
  • 嘔気
  • 頭痛
  • 疲労・脱力感
  • 食欲不振
  • イライラ
  • 下痢および憂うつ

参照:公益社団法人 日本産婦人科医会|(1)月経困難症

PMDD(Premenstrual Dyspholic Disorder/月経前不快気分障害)

PMDDとは、PMSの精神症状(「抑うつ気分」「不安・緊張」「情緒不安定」「怒り・イライラ」の4症状が中心)が特に強いものです。

月経のある女性の3〜8%に存在する可能性があるといわれています。なぜ、PMDDの症状が起きるのかについて、原因は明確になっていません。

PMDDの診断基準は、アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」が参考になります。

<A>
ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が認められ、月経開始数日以内に軽快し始め月経終了後の週には最小限になるか消失する。

<B>
以下の症状のうち1つまたはそれ以上が存在する。
1.著しい感情の不安定性(例:気分変動;突然悲しくなる、または涙もろくなる,または拒絶に対する敏感さの亢進)
2.著しいいらだたしさ、怒り、易怒性,または対人関係の摩擦の増加
3.著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考
4.著しい不安、緊張、および/または“高ぶっている”とか“いらだっている”という感覚

<C>
さらに、以下の症状のうち1つ(またはそれ以上)が存在し、上記基準<B> の症状と合わせると、症状は5つ以上になる。
1.通常の活動(例:仕事,学校,友人,趣味)における興味の減退
2.集中困難の自覚
3.倦怠感,易疲労性,または気力の著しい欠如
4.食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望
5.過眠または不眠
6.圧倒される、または制御不能という感じ
7.ほかの身体症状、例えば、乳房の圧痛または腫脹、関節痛または筋肉痛、“膨らんでいる”感覚、体重増加
注:基準<A>~<C>の症状は、先行する1年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない。

<D>
症状は,臨床的に意味のある苦痛をもたらしたり、仕事、学校、通常の社会的活動または他者との関係を妨げたりする。
(例:社会活動の回避:仕事,学校または家庭における生産性や効率の低下)

<E>
この障害は、ほかの障害、例えばうつ病、パニック症、持続性抑うつ障害(気分変調症)、またはパーソナリティ障害の単なる症状の増悪ではない(これらの障害はいずれも併存する可能性はあるが)

<F>
基準<A>は、2回以上の症状周期にわたり、前方視的に行われる毎日の評定により確認される
(注:診断は、この確認に先立ち、暫定的に下されてもよい)

参照:American Psychiatric Association:Diagnostic and statistical manual of mental disorders : DSM-5

PMDDはPMSよりも通常の日常生活を送るのに支障をきたしている状態といえます。

月経前は精神的に追い込まれることが増えたり、イライラすることが特に多くなる方は、一度医療機関を受診することをおすすめします。

更年期障害

更年期障害とは、いわゆる「更年期」と呼ばれる時期に現れるさまざまな症状の中で、日常生活に支障をきたすような重たい症状のことです。

更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を指すのが一般的です。 具体的には、以下のような症状が挙げられます。

  • 血管運動症状(ほてり、のぼせ、発汗、冷えなど)
  • 精神症状(イライラ、不安、不眠、抑うつ、無気力)
  • 関節などの症状(腰痛、関節痛、肩こり)
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 動悸
  • 息切れ
  • 疲労感
  • 皮膚症状(乾燥、かゆみ、湿疹など)

参照:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|更年期障害とは?

PMSとPMDDにおける調査結果

以下では、厚生労働省の「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」を参考にした、PMSとPMDDにおける調査結果を紹介します。

※調査対象:18歳〜40代の女性3,000人

状況

「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」のPMSとPMDDのチェックリストが掲載されている11の質問について、どの質問が「はい」の回答が多かったのかを以下で紹介します。

質問内容 「はい」と回答した割合(%)
疲れやすく、気力がわかない 57.1
感情が不安定になる 54.0
乳房の痛みや張り、関節痛や筋肉痛、頭痛、むくみ、体重増加などの身体症状がある 53.1
食欲が増したり、特定の食べ物を食べたくなる 50.7
集中力が低下する 44.1
いらだち、怒りの感情があり、対人関係でいさかいが増える 43.6
過眠または不眠になる 42.8
うつっぽさ、絶望感を感じ、自分に批判的になる 36.9
不安、緊張、高ぶっているという感覚がある 36.9
仕事・学校・友人関係・趣味に対しての興味が減る 27.3
圧倒される、または自分をコントロールできない感覚がある 26.6

参照:厚生労働省|『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査

困難度

「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」のPMSとPMDDのチェックリストが掲載されている11の質問の回答状況をもとにして、PMSとPMDDの困難度を3段階に分類しています。その結果、困難度が高い分類が
もっとも多くなっています。

PMSとPMDDの困難度 基準(11の質問における「はい」の回答数) 割合(%)
5項目以上 47.8
2〜4項目 23.5
1項目以下 28.7

参照:厚生労働省|『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査

対処方法

以下の表は、「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」のPMSとPMDDのチェックリストが掲載されている11の質問について、1つ以上の項目で「はい」と回答した方(2415人)のPMSとPMDDがあるときの対処方法です。

この結果によると、積極的に医療機関を受診していないことが伺えます。

対処方法 「いつもしている」「たいていしている」と回答した方の合計割合(%)
症状が出ても我慢している 38.5
市販の痛み止めを服用している 26.5
医療機関(婦人科など)を受診している 9.3
医療機関(婦人科等)で処方された痛み止めを服用している 8.7

参照:厚生労働省|『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査

医療機関を受診しない理由

上記「対処方法」についてで、「医療機関 (婦人科等)を受診している」で「あまりしていない」「全くしていない:必要だと思うが、していない」と回答した人(681人)について受診しなかった理由を調査しました。
この調査結果によると、医療機関を受診しない方は総じて「医療機関を受診するほどではない」とPMSの症状についてそこまで問題視してない、または優先順位があまり高くない問題としていると考えられます。

受診しなかった理由 「あまりしていない」「全くしていない:必要だと思うが、していない」と回答した方の合計割合(%)
医療機関に行くほどのことではないと思うから 42.0
医療機関に行く時間がないから 29.1
医療機関に行くためのお金がないから 20.3
新型コロナウイルスの影響で外出を控えているから 13.1
仕事を休みづらいから 11.3

PMSの判断方法

「私、もしかしたらPMSかもしれない」と思ったときは、どのような方法で確認できるでしょうか。以下では、具体的な方法について解説します。

セルフチェックしてみる

この記事で紹介したPMSの症状を再度見返して、セルフチェックしてみましょう。

  • イライラして情緒不安定になる
  • 下腹部に痛みがある
  • 頭痛やめまいがある
  • 過食気味になる
  • 肌荒れやニキビが気になる

など、該当するものが多い場合は、PMSの可能性が高いといえます。

また、月経前は微熱が出やすいので基礎体温をつけるのもセルフチェックに効果的です。
自分の身体のリズムを理解しましょう。

病院も検討する

上記の「PMSとPMDDにおける調査結果」からすると、医療機関を受診する方は少ないと考えられます。

しかし、PMSの症状が毎月起こり辛く感じていて、仕事やプライベートにおける対人関係に支障が出ている場合は、医療機関でのカウンセリングを受けるなども検討するとよいでしょう。

PMSの症状は、直接命に関わるものではないものがほとんどです。 ただし、そのまま放置しているのでは、改善できるものも改善できなくなってしまう可能性が高くなってしまいます。

市販の痛み止めの服用は、あくまで対処療法として考えた方がよいでしょう。
医師の診断や処方箋が必要なものの使用をおすすめします。

アプリを使用する

近年は、スマートフォンのアプリでPMSの予測や対策ができるようになっています。

たとえば、PMSの予測・共有アプリの一つ「ケアミー」では、心身の変化を予測したり、LINEでパートナーに共有したりできます。

パートナーにPMSのことを自分の言葉でうまく説明できない方や、心理的にうまく伝えられない方にはおすすめのアプリです。

PMS対策・上手に付き合うためのポイント

PMSの症状に対して上手に付き合っていくためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

以下では、PMS対策として、PMSの症状に対して上手に付き合うためのポイントを解説します。

食生活を改善する

PMS対策として、食生活の改善は大事な要素です。
食生活や栄養バランスの乱れから、PMSの症状が重くなる可能性も考えられます。

具体的には、以下のような習慣を取り入れてみましょう。

  • 急激に血糖値を上げるような食事を控える(例:糖質過多になりすぎないようにする、よく噛んでゆっくり食べる)
  • カフェインを控える
  • カルシウムやビタミンB6などを積極的に摂取する
  • イソフラボンを含む食べ物を摂取する(豆腐、豆乳など)

運動習慣をつける

PMSの症状で辛くなっているときに、運動しようとは思わない気持ちも理解できます。
無理する必要はありませんが、運動は気分転換にもなるため、PMSの症状を少しでも緩和するには軽めに運動する習慣があるとよいでしょう。

具体的には、以下のような運動がおすすめです。

  • ストレッチ
  • ウォーキング
  • ヨガ
  • ピラティス
  • 深呼吸

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PMSの症状を知り、自分に合った対策を取りましょう!

この記事では、PMSについて症状や原因、対策を徹底解説しました。

PMSの症状については、学校や職場が理解不足であったり、そもそも本人が「PMSとは何か?」を知らなかったりとしっかり理解できていない方が多いといえます。

そのため、自らの意思で学び、自分に合った対策を取る必要があるでしょう。

PMSの症状は200種類以上あるともいわれていることや明確な原因が不明なことから、どのような対策を取ればよいかわからず困ってしまう方もいるでしょう。

まずはセルフチェックから始めてみて、この記事で紹介した症状を感じることが多いのか確認してみることをおすすめします。

その上で、食生活を改善したり運動の習慣を身につけたりと自分にできることからPMSの症状を抑える対策をとっていきましょう。