忙しい現代人にとって、なかなか落ちないお腹の脂肪は悩みの種となっています。
座りがちなライフスタイルや不規則な食生活の影響で、お腹周りが気になることも少なくありません。
そんな皆様のために、この記事では、日常生活に無理なく取り入れられる運動や食事のポイントから、短期的に脂肪を落とすおすすめの方法まで、詳しく解説します。
本記事を参考に、すっきりとしたウエストライン・理想の体型を手に入れましょう。
なぜお腹の脂肪は落ちにくいのか?
お腹の脂肪は見た目が気になるだけでなく、健康リスクも高めるため、多くの人にとって悩みの種です。
しかし、お腹の脂肪を落とそうとしても、お腹の脂肪は下半身や二の腕をはじめとするほかの部位と比べても、なかなか落ちにくいという印象があります。
なぜ、お腹の脂肪は思うように落ちてくれないのでしょうか?
その理由は、主に次の3つが挙げられます。
- 1.内臓脂肪の影響
- 2.加齢による基礎代謝の低下
- 3.血流が悪く、脂肪燃焼しにくい
1. 内臓脂肪の影響
お腹の脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。皮下脂肪は皮下に蓄積される脂肪で、比較的落としやすいものです。
一方、内臓脂肪は、内臓周りに蓄積される脂肪で、皮下脂肪よりも落ちにくく、健康リスクも高めるとされています。
お腹の脂肪が落ちにくい主な原因は、この内臓脂肪が多くつきやすい部位であることが関係しています。
内臓脂肪は、ホルモンの影響を受けやすく、コルチゾールなどのストレスホルモンやインスリンは内臓脂肪の蓄積を促進してしまいます。
特に、女性は男性よりもこれらのホルモンの影響を受けやすいため、お腹周りに内臓脂肪が付きやすく、落ちにくい傾向があります。
2. 加齢による基礎代謝の低下
基礎代謝とは、簡単に説明すると、カロリーを消費するエネルギーのことです。
年齢とともにこの基礎代謝が低下すると、消費エネルギー量が減り、脂肪が燃焼しにくくなります。
そのため、同じカロリーを摂取していても、余分なエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなり、太りやすくなるのです。
特に、30代以降は基礎代謝が徐々に下がりはじめる傾向にあり、40代以降になるとさらに顕著になります。
3.血流が悪く、脂肪燃焼しにくい
内臓脂肪は、皮下脂肪よりも血管の密度が低く、血管の壁も厚いため、血流が悪くなりやすいという特徴があります。
また、内臓脂肪には交感神経が多く分布しており、この交感神経が優位になると、血管が収縮し、血流が悪くなってしまいます。
上述したように、お腹周りは内臓脂肪が多い部位であるため、全体的に血流が悪くなりやすく、脂肪燃焼が難しい部分です。
これらのメカニズムに加えて、慢性的な運動不足や不規則な生活習慣、ストレスなども、お腹の脂肪が落ちにくい原因となります。
これらのメカニズムを理解した上で、次に紹介する対策と組み合わせることが重要です。
お腹の脂肪を落とすおすすめの方法
このように、なかなか思うように落ちてくれないお腹の脂肪ですが、具体的にお腹の脂肪を落とすためにはどのような対策がおすすめなのでしょうか?
おすすめの方法を5つ紹介します。
お腹の脂肪を落とすためにおすすめの方法は次の5つです。
- 1.有酸素運動だけでなく、筋トレも習慣化する
- 2.高タンパク質・低糖質の食事に変える
- 3.脂肪吸引治療を受ける
- 4.定期的にサウナに入る
- 5.十分な睡眠をとる
有酸素運動だけでなく、筋トレも習慣化する
運動はエネルギーを消費するため、カロリー消費量を増やすことができ、脂肪燃焼に最もおすすめの方法です。
特に、有酸素運動は脂肪を燃焼させる力が高く、なかなか落ちにくい内臓脂肪の減少をサポートします。
ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を30分以上継続することで、効率的にカロリーを消費することができます。
脂肪燃焼におすすめの有酸素運動は次の通りです。
種目 | 消費カロリー(15分あたり) | |
1 | ランニング(階段) | 約394kcal |
2 | 縄跳び | 約333kcal |
3 | 水泳(クロール) | 約325kcal |
4 | ランニング(平地) | 約298kcal |
5 | サイクリング | 269kcal |
(出典)
厚生労働省:身体活動・運動の単位
スポーツ庁:「運動強度(METs)」で見る、効果的な身体活動は?
消費カロリーは、体重や運動強度、運動時間によって個人差があります。あくまでも一般的な目安としてご参照ください。
ここまではみなさまもすでにご存知で、日常的に有酸素運動を実践されている方も多い印象です。しかし、お腹周りの内臓脂肪をより効率的に落とすためには、有酸素運動だけでなく、筋トレを取り入れる必要があります。
筋トレによって体の筋肉量が増えると、基礎代謝が向上するからです。基礎代謝が高くなれば、安静時でもより多くのカロリーを消費することができるため、お腹周りの厄介な内臓脂肪の燃焼機能を促進することができます。
「運動をしているけれどもなかなか脂肪が落ちない…」と悩んでいる方は、まずは日々の運動に筋トレを取り入れてみましょう。
高タンパク質・低糖質の食事に変える
タンパク質の摂取が脂肪を落とすために重要である理由としては、体内で分解・吸収される際に多くのエネルギーを消費する点にあります。
このエネルギー消費量のことを「食事誘発性熱産生 (DIT)」といい、このDITは栄養素の中でタンパク質が最も高く糖質が最も低いため、高タンパク質・低糖な食事を取り入れることで、脂肪燃焼のサポートが期待できます。
同時に、高タンパクな食事は筋肉の材料となるアミノ酸を豊富に摂取することもできるため、筋肉量を維持・増加させることで基礎代謝を高め、脂肪燃焼機能をさらに高めることにもつながります。
一方、糖質は体内でエネルギーとして優先的に利用されますが、糖質が不足すると、代わりに体内の体脂肪がエネルギー源として利用されるようになります。
つまり、糖質を制限することで、脂肪燃焼の材料として体脂肪が利用されるようになるということです。そのため、低糖質な食事を意識することがとても大切なのです。
これらのメカニズムにより、高タンパク・低糖質な食事を取り入れることで、なかなか落ちないお腹周りの厄介な脂肪を落とす一助となるのです。
では、具体的に高タンパク・低糖質な食べ物にはどのようなものが挙げられるのでしょうか?高タンパク・低糖質な食べ物は次の通りです。参考にしてみてください。
高タンパクな食べ物 | |
1 | 鶏むね肉(23.2g/100g) |
2 | ぶり(21.9g/100g) |
3 | ささみ(23.2g/100g) |
4 | 納豆(16.4g/100g) |
5 | ツナ缶(17.0g/100g) |
※()内は100gあたりのタンパク質含有量
低糖質な食べ物(GI値が低いもの) | |
1 | カリフラワー(3g/100g) |
2 | ブロッコリー(3.4g/100g) |
3 | アボカド(2.0g/100g) |
4 | きのこ類(0.5g~3.6g/100g) |
5 | 海藻類(6.2g~7.6g/100g) |
※()内は100gあたりの糖質量
これらのデータは、各食材の栄養成分表示や、米国農務省(USDA)の食品データベースを基にしています。正確な数値は食材や調理法によって変動することがありますので、あくまで参考としてご参照ください。
脂肪吸引治療を受ける
脂肪吸引治療とは、カニューレと呼ばれる細い管を皮膚に挿入し、余分な脂肪を吸引する方法です。
お腹周りや二の腕、太ももなど、部分的な脂肪をピンポイントで減らすことができます。
脂肪吸引治療は、単に皮下脂肪や内臓脂肪を一時的に取り除くだけでなく、脂肪細胞そのものを根本から吸引し減らします。
この脂肪細胞は一般的に、一度取り除くと増えることはないと考えられているため、治療後にリバウンドのリスクが低いのが特徴です。
脂肪吸引であれば、過酷な運動や食事制限をする必要もなく、なにより短期的に効果を感じることができるため、近年人気が高まっています。
しかし、楽だからといって安易に手を出すことはおすすめできません。
施術部位やクリニックによって費用は異なりますが、一般的には数十万円程度の高額な費用がかかることに加え、医療治療である以上、副作用が起きてしまう可能性があります。
治療を検討されている場合は、必ず専門家に相談し、メリット・デメリットの両面を理解した上で治療をはじめるようにしましょう。
定期的にサウナに入る
サウナは、お腹の脂肪を落とす上で直接的な効果があるわけではありませんが、脂肪燃焼を促進する機能や、体質の改善に繋がると考えられています。
具体的には、サウナの熱ストレスによって、ヒートショックプロテイン(HSP)と呼ばれるたんぱく質が生成され、このHSPは細胞の修復や代謝を促進するといわれています。
サウナにはこれらの、脂肪燃焼をサポートする機能だけでなく、サウナに入ることで自律神経を整える働きもあります。
サウナに入ることでストレス発散にもなりますので、仕事やプライベートで疲れが溜まっているタイミングで取り入れてみると良いでしょう。
十分な睡眠をとる
睡眠は脂肪燃焼だけでなく、身体のあらゆる機能を高める上で非常に大切です。
仕事に忙しい現代社会においては軽視されがちですが、睡眠に十分な時間を確保しないと、せっかくの食事制限や運動が無駄になってしまいます。
睡眠不足になると、人間の体内では、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌が減少し、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌が増加するといわれています。
睡眠不足によってホルモンバランスが乱れ、レプチンの分泌が減少し、グレリンの分泌が増加すると、必要以上に食事を摂ってしまう(過食)ことになり、脂肪が蓄積されやすくなります。
また、睡眠不足になると基礎代謝が低下するリスクが高まります。
基礎代謝が低下してしまうと、消費できるエネルギー量が減少してしまい、脂肪が燃焼されにくくなります。
十分な睡眠をとることで、代謝が促進され、脂肪燃焼効果を高めることができますので、運動や食事制限が苦しいという方も、睡眠だけはしっかりと取るようにしましょう。
人間の睡眠時間の目安は、年齢や個人差によって大きく異なりますが、一般的には成人の場合、1日6時間~9時間程度は必要だと言われています。
厚生労働省による睡眠時間の目安は、次の通りです。
年齢 | 睡眠時間の目安 |
乳幼児(0~5歳) | 10~14時間 |
児童(6~13歳) | 9~11時間 |
青少年(14~17歳) | 8~10時間 |
成人(18~64歳) | 6~9時間 |
高齢者(65歳以上) | 7~8時間 |
(出典)厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド 2023
これらの数値はあくまでも一般的な目安であり、個人によって必要な睡眠時間は異なりますので、参考としてご参照ください。
よくやりがちな失敗・注意点
ここまで、お腹の脂肪を落とすためにおすすめの方法を5つ紹介しました。
さっそく、「よし、自分もすぐに始めてみよう」と感じていただいている方も多いかと思いますが、これらの方法を実践する際にはいくつかの注意点があります。
注意すべきポイントは次の4点です。
- 1.いきなり極端な食事制限・ダイエットを行う
- 2.どれか1つだけしかやらない
- 3.すぐに結果を求める
- 4.継続しない
1.いきなり極端な食事制限・ダイエットを行う
お腹の脂肪を落とそうと意気込むことはとても大切ですが、はじめからいきなり極端に食事量を減らしたり、過度なダイエットを行うことはおすすめできません。
これは、極端な食事制限を行うと、脂肪だけでなく一緒に筋肉も失われてしまい、基礎代謝が低下してしまいます。基礎代謝が低下すると、同じ量のカロリーを摂取しても、消費するカロリーが減ってしまうため、リバウンドしやすくなってしまいます。
また、極端な食事制限を行うと、ホルモンバランスが乱れる点にも注意が必要です。エストロゲンの減少により脂肪蓄積が促進してしまうだけでなく、コルチゾールの増加により脂肪分解昨日が抑制されてしまい、内臓脂肪が蓄積しやすくなってしまいます。
このように、短期間で一気にお腹の脂肪を落とそうと極端な食事制限を行うと、結果的にすぐにリバウンドしやすい身体になってしまい、逆効果になってしまう可能性が非常に高いです。
まずは無理のない範囲で少しずつ食事の制限をしていき、長期的な視点でリバウンドのしにくい体を手に入れるように意識しましょう。
2.どれか1つだけしかやらない
上述した5つの方法は、どれか1つだけやるのではなく、バランスよく日常生活に取り入れることが大切です。
例えば、お腹の脂肪を落とそうと、高タンパク低糖質な食事を徹底し、筋トレをしっかりと行っていたとしても、十分な睡眠を取らなければせっかくの運動や食事制限も意味がなくなってしまいます。
逆に、しっかりと睡眠時間を確保していたとしても、筋トレや食事制限を怠っていては意味がありません。
このように、どれか1つだけをやるのではなく、食事に運動、睡眠とバランスよく日常生活に取り入れることが大切です。
極端に偏った生活習慣にならないよう、日々の食事や運動、睡眠をしっかりと数値化してみると良いでしょう。
3.すぐに結果を求める
先ほども触れましたが、短期間で結果を出そうと極端なダイエットを行ってしまうと、筋肉量が減ることで基礎代謝が下がり、かえってリバウンドしやすい体になってしまいます。
すぐにお腹の脂肪を落とし、スリムなウエストラインを手に入れたくなる気持ちはよくわかりますが、しっかりとリバウンドのしにくいスリムな体を手に入れるには、ある程度の時間がかかります。
短期間でお腹の脂肪を落とす方法としては、脂肪吸引が挙げられますが、こちらはあくまでも医療行為であり、さまざまなリスクが伴うことに加え費用もかかるため、安易に手を出すことはおすすめできません。
まずはできるところから少しずつ生活習慣の改善を行い、理想のボディへ近づけていきましょう。
4.継続しない
こちらが最も注意したいポイントです。1つ目の注意点と重なるところでもありますが、よくありがちなのが、はじめにいきなり極端な食事制限や運動を行ってしまい、続かずにすぐに挫折してしまうというパターンです。
ここまで解説したように、お腹の脂肪を落とすためには継続的に時間をかけて食事制限や筋トレを行っていく必要があり、途中でやめてしまうと意味がなくなってしまいます。
大切なのは、短期間で脂肪を落とすことではなく、脂肪の付きにくい体を手にいれることです。
そのため、はじめは少し気持ちを抑えて、余裕のある食事制限、トレーニング内容で始めてみることをおすすめします。くれぐれも、すぐに挫折してしまわないよう注意しましょう。
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自分にとって無理のない方法での継続が大切
今回はお腹の脂肪が落ちにくいメカニズムから、脂肪を落とすためのおすすめの方法、そして注意すべきポイントまで詳しく解説しました。
結論、これをすれば一瞬でお腹の脂肪を落とすことができる、というような魔法のような方法は存在しません。食事内容を制限し、十分な運動と睡眠を徹底する。そしてそれを継続することが、理想の体を手に入れるための1番の近道となります。
大切なのは、「継続する」ことです。いきなり過度なダイエットですぐに挫折してしまうようなことがないよう、少しずつ、できる部分から改善をしていきましょう。