「菌活」という言葉を聞いたことはありますか?近年注目されつつある言葉で、美容や健康に関心が高い方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「なんとなく身体によさそう!」と、健康に有益なものであるイメージはつきやすいものの、具体的にどのような方法で行い、どのような効果が期待できるかまではパッと想像できないことが予想されます。
本記事では、菌活の効果やメリット、やり方、おすすめの方法などについて詳しく解説します。
菌活とは?
菌活は腸活と異なり「菌」という単語が使われていることもあり、腸内細菌などが関係していると考える方は多いと思いますが、そのイメージでほぼ間違いはありません。
菌活とは、菌類(乳酸菌や酵母菌)などを積極的に体内へ取り入れて、腸内環境を整えていく習慣を指します。以下では、なぜ菌活が近年注目されつつあるのか、腸活とは何が違うのかについて解説します。
菌活が注目されている理由
菌活が注目されている理由について、本記事では「空前の健康ブーム」からきているという視点から解説します。
現代は「腸内環境を整えること」から健康にアプローチしている企業が多い印象です。特に腸内細菌は注目度が高く、コロナ禍における健康意識の高まりという時代背景も相俟って、市場規模も大きくなっています。また、消費者からのニーズが高いことから、企業やメーカーも積極的にプロモーション活動などを仕掛けていることも注目度が高い一因といえるでしょう。
今後も健康意識は高まっていくことが予想されます。身体の内部から整えていこうとする菌活は、ますます注目度が高まっていくでしょう。
腸活との違い
「菌活」という言葉も注目度が上がってきていますが、どちらかというと「腸活」という言葉を知っている方のほうが多いのではないでしょうか。
どちらも「腸内環境の整備」が目的となっていますが、内容に若干の違いがあります。菌活と腸活のおもな違いは、以下のとおりです。
腸活:バランスのよい食事や適度な運動などによって、腸内環境を整えること
菌活:食事で善玉菌を取り入れたり腸内細菌を育てたりすることで、腸内環境を整えること
このことから、菌活は腸活の一種とも捉えられます。腸活と並行して菌活も行うと、より効果が期待できるでしょう。
菌活のおもな効果・メリット
腸内環境を整えることを目的とした菌活によって得られるおもな効果やメリットは、以下のとおりです。
- 便秘改善
- 免疫力向上
- 美肌効果
- ストレス解消
- ダイエットサポート
それぞれについて、一つずつ詳しく解説します。
※効果は個人差があります。
便秘改善
1つめは、便秘改善です。
便秘になる理由の一つに、食生活の乱れがあります。菌活によって善玉菌を取り入れることで、腸内細菌のバランスを整える効果が期待できます。
便秘が慢性化すると、腸内環境を悪化させるだけにとどまりません。便秘が原因で、さまざまな身体の不調をもたらすだけではなく他の疾病にかかる可能性も出てくるといわれています。
また、年齢が高くなるとともに便秘になる方が増える傾向にあります。理由はさまざまあるといわれていて、おもな理由は以下のとおりです。
- 便を押し出す筋力が低下することが多いため、便が出にくくなる
- 腸のぜん動運動にかかわる自律神経が乱れが生じやすい
- 食べる量が減り、腸への刺激が少なくなる
- 運動量が減り、ぜん動運動の低下につながる
- 便意を感じにくくなり、直腸に便が溜まりやすくなる
菌活を進めていくことで便秘改善が期待できるとともに、悩みの種を未然に回収できるでしょう。
免疫力向上
2つめは、免疫力の向上です。
免疫とは、人間の身体に備わっている外的脅威(細菌やウイルス)から身を守るための防御システムです。細菌やウイルスを異物(抗原)と認識することで攻撃し、身体を正常に保ちます。
そして、免疫システムを担う免疫細胞の約7割が腸にあるといわれています。このことが、腸内環境を整えることが免疫力の向上につながる理由です。菌活によって腸内細菌のバランスが整えられれば免疫細胞を活性化できるため、免疫力アップも期待できます。
美肌効果
3つめは、美肌効果が期待できることです。
腸内環境を悪化することで身体の全体に不調が生じやすくなるといわれているため、菌活によって腸内環境が整うことで、肌荒れの改善や美肌効果が期待できるでしょう。
また、腸内細菌の中には「美肌菌」と呼ばれる表皮ブドウ球菌があります。表皮ブドウ球菌は、保湿成分や悪玉菌の繁殖を抑える成分を産生し、肌のバリア機能を保護します。
ストレス解消
4つめは、ストレスの解消です。
腸と脳は「脳腸相関」という言葉があるように、自律神経やホルモンなどの情報伝達系を仲介にして密接に関係しているといわれています。ストレスを感じることでお腹が痛くなることは、脳腸相関の一例といえるでしょう。
ゆえに、菌活によって腸内環境が整えば脳の状態もよくなり、ストレスの軽減やメンタルが安定することが期待できます。
ダイエットサポート
5つめは、ダイエットサポートです。
菌活によって増やすことが期待できる善玉菌には、体内に脂肪を蓄えることを防ぐ働きがあるといわれています。
悪玉菌が増えると本来の腸の機能が乱れてしまい、脳に正常な指令が送れなくなる結果食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。
善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことで、ダイエット成功へ近づけるようサポートします。
菌活を進める上でのポイント3選
実際に菌活する上で特に意識したほうがよいポイントは、以下の3つです。
- 善玉菌を増やす
- 生活に運動を取り入れる
- 便の状態をチェックする
菌活を成功させる上で重要なことなので、一つずつ詳しく解説します。
善玉菌を増やす
1つめは、善玉菌を増やすことです。
腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見(ひよりみ)菌の3種類に分けられるとするのが一般的です。特徴や違いを以下の表にまとめます。
種類 | 特徴 | おもな腸内細菌 |
---|---|---|
善玉菌 |
・腸内のpHを弱酸性に保つ ・ビタミンを作る ・消化吸収をサポートする ・免疫細胞の活動をサポートする |
・乳酸菌 ・ビフィズス菌 ・酪酸菌 |
悪玉菌 |
・腸内のpHをアルカリ性にする ・腸内を腐敗させる ・細菌毒素を作る ・発ガン性物質を生成する可能性がある |
・大腸菌(有毒株) ・ウェルシュ菌 ・ブドウ球菌 |
日和見菌 | 善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じように働く |
・バクテロイデス ・大腸菌(無毒株) ・連鎖球菌 |
上記3つの腸内細菌の割合は「善玉菌・悪玉菌・日和見菌=2:1:7」が理想とされています。
注目すべきポイントは、日和見菌の働きです。腸内が善玉菌優勢になれば善玉菌と同じように働き、悪玉菌が優勢になれば悪玉菌と同じように働く特徴があります。
菌活する上で大事なことは、いかにして善玉菌優勢の腸内環境を作り出して日和見菌を味方につけることです。菌活における善玉菌の増やし方は、本記事の後半部分で詳しく解説します。
生活に運動を取り入れる
2つめは、毎日の生活に運動を取り入れることです。
適度な運動は身体にリラックス感を与えるとともに気分転換に適していて、自律神経に良い影響を与えると考えられています。
先ほどお伝えしたとおり、腸と脳は密接に関係していると考えられているため、自律神経を整えてくれるレベルの運動は、腸内環境を整えることによっても効果的といえるでしょう。
また、運動によって全身の血流が促進されることで消化器官の働きも活発になることも、腸内環境を整える上では有効です。運動の習慣がない方は、少しずつで構わないので身体を動かしていくことから始めてみましょう。
種類 | 特徴 | おもな腸内細菌 |
---|---|---|
善玉菌 |
・腸内のpHを弱酸性に保つ ・ビタミンを作る ・消化吸収をサポートする ・免疫細胞の活動をサポートする |
・乳酸菌 ・ビフィズス菌 ・酪酸菌 |
悪玉菌 |
・腸内のpHをアルカリ性にする ・腸内を腐敗させる ・細菌毒素を作る ・発ガン性物質を生成する可能性がある |
・大腸菌(有毒株) ・ウェルシュ菌 ・ブドウ球菌 |
日和見菌 | 善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じように働く |
・バクテロイデス ・大腸菌(無毒株) ・連鎖球菌 |
便の状態をチェックする
3つめは、便の状態をチェックすることです。
腸内環境の状態は、便の状態をチェックすることである程度確認できます。具体的な内容は、以下のとおりです。
- 形:バナナ状または半練り状
- 量:100〜200g程度(バナナ1.5〜2本分)
- 色:黄褐色
- におい:顔をしかめたくなるほど強烈ではない
これらに該当しない状態が続く場合、何らかの生活習慣や食事の見直しをしてみましょう。
便は現在の健康状態を示すアナウンスのようなものです。そのため、毎日便を見る習慣をつけると良いですよ。
※ただし、便の状態には個人差があり、一概に健康状態を示すものではありません。
簡単にできる!菌活のやり方
前章までは、菌活のおもな効果やメリット、実際に菌活する上で特に意識したほうがよいポイントを解説しました。
この内容を踏まえて、本章では具体的な菌活のやり方を解説します。
「菌活って、何から始めればいいのだろうか」と思っている方は、ぜひ以下の5つを無理のない範囲で始めてみてください。
- 食生活を整える
- 水分をこまめに補給する
- ウォーキングを始める
- 腸活も意識する
- 睡眠時間を確保する
それぞれについて、一つずつ詳しく解説します。
食生活を整える
1つめは、食生活を整えることです。
特に栄養バランスが乱れていることや食べる時間が不規則になっていることを実感している方にとって、菌活を始めることは食生活を見直すよいきっかけとなるでしょう。
菌活では善玉菌を増やすことがポイントの一つとして挙げられますが、善玉菌を増やすものとしてお勧めしたいのが「オリゴ糖」と「食物繊維」の摂取です。
1.オリゴ糖
オリゴ糖とは、糖の分子が数個付いているものの総称で、炭水化物の一種です。オリゴ糖は大きく分けると、2種類あります。
消化性:消化酵素に分解されて、身体のエネルギー源になる
難消化性:消化されずに大腸まで届く
腸内環境を整えるオリゴ糖は、難消化性のオリゴ糖です。
難消化性のオリゴ糖は、腸内で善玉菌の一つとして知られるビフィズス菌のエサとなります。
<オリゴ糖を多く含む食材>
大豆、ゴボウ、アスパラガス、タマネギ、トウモロコシ、にんにく、バナナなど
オリゴ糖は食材のほか、シロップでも摂取できます。ヨーグルトやコーヒーにかけても美味しくいただけます。
2.食物繊維
食物繊維とは、人の消化酵素では分解できない食物中の成分を指します。食物繊維は、善玉菌の一つとして知られる酪酸菌などのエサとなるといわれているため、腸内環境を整える働きが期待できます。菌活を進める上では、積極的に摂取していくことをおすすめします。
ただ、現状として日本人は食物繊維の摂取量は不足していることは頭に入れておきましょう。厚生労働省による最新のデータ「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」によると、1日の食物繊維の摂取推奨量が25gとなっていますが、前回(2020年版)よりも1g/日増えています。
まだまだ日本人の食物繊維摂取量が不足していることや、食物繊維がさまざまな病気を予防する効果があることが最新の研究結果からわかってきていることから、国も積極的に食物繊維を摂取することを推奨しているのでしょう。
菌活をきっかけにして、毎日の食生活に食物繊維を加えていきましょう。
<食物繊維を多く含む食材>
ごぼう、とうもろこし、さつまいも、しいたけ、わかめなど
水分をこまめに補給する
2つめは、水分をこまめに補給することです。
水分不足になると便が固くなりやすいため、便秘の原因となります。腸内環境を悪化させないようにするためにも、こまめに水分を補給することが大事です。
水分補給するときのポイントは、以下のとおりです。
- こまめに補給する:喉が渇く前に飲むことを意識する
- 1日の目安は1.5〜2リットル程度:あくまで目安として捉える(人によって適量が異なるため)
- 常温で飲む:冷たい水は身体の冷えにつながる
- 朝起きたらグイッとコップ一杯の水を飲む:腸に刺激を与えて、腸のぜん動運動を促進する
- 飲み物を工夫する:オリゴ糖が含まれるドリンクなどがおすすめ(豆乳、バナナジュースなど)
ウォーキングを始める
3つめは、ウォーキングなどの運動を始めることです。
ウォーキングでは、腸腰筋(ちょうようきん)が鍛えられます。腸腰筋は、腰椎から大腿骨の上部まで伸びていて、上半身と下半身をつないでいる唯一の筋肉です。腸腰筋の筋力が低下すると、便秘や冷え性の原因になるといわれています。
菌活の一環としてウォーキングを取り入れることで、腸腰筋の活性化が期待できます。ウォーキングする際には、以下のポイントを意識しながら行いましょう。
- 1日1万歩を目標にしてみる
- 大股で、膝をあまり曲げないようにして歩く
- 猫背や前かがみにならないように、背筋をピシッと伸ばして歩く
腸活も意識する
4つめは、菌活と並行して腸活も意識しながら行うことです。
菌活は腸活の一種とも捉えられるため、同時に行っていくことでより効果的に腸内環境を整えていけるようになるでしょう。
たとえば、毎日の食事の栄養バランスを気にするようにしたり、適度な運動を習慣化させたりするなど、できる限り継続していけることを日々の生活に取り入れていきましょう。
睡眠時間を確保する
5つめは、睡眠時間を確保することです。
菌活を進めていく上で、睡眠時間をしっかりと確保することはとても重要なことです。睡眠不足になると腸内細菌のバランスを崩し、心身の不調をきたす原因になるといわれています。
また、規則正しい生活を送り早寝早起きを習慣化すれば、自律神経が安定しやすくなるでしょう。脳腸相関の考えからすると、自律神経の安定は腸内環境の安定にもつながりやすいといえます。
しっかりと睡眠時間を確保して、規則正しい生活を送るようにしましょう。
菌活におすすめの食材
最後に、菌活を進めていく上でおすすめの食材を紹介します。以下で紹介する食材を、ぜひ毎日の食事に加えてみてください。
発酵食品
発酵食品とは、微生物の働きによって食品中の有機物が分解され、独特のうまみや香りが生み出された食品です。栄養価が高まることが多く、健康食品として人気があります。また、発酵食品はもともと保存食として作られたものが多いため、長期保存しやすいのも特徴です。
おもな発酵食品は、以下のとおりです。
カテゴリ | アイテム |
---|---|
調味料 | 味噌、醤油、みりん、塩麴、豆板醤、酢 |
酒 | 日本酒、ワイン、ビール、シャンパン、甘酒 |
豆類 | 納豆、豆腐 |
肉類 | 生ハム、ドライソーセージ、サラミ |
魚介類 | 鰹節、くさや、アンチョビ、塩辛 |
乳製品 | チーズ、ヨーグルト |
野菜・果物 | ぬか漬け、キムチ |
野菜
食物繊維が多く含まれている野菜は、菌活におすすめです。食物繊維は腸内で善玉菌のエサになるため、善玉菌を増やすために有効です。
特におすすめなのが根菜類で、ごぼうやにんじん、れんこんなどには食物繊維が多く含まれています。腸内細菌はそれぞれエサにする食物繊維が異なるといわれているため、一種類の野菜だけではなく、さまざまな野菜を食べるようにしましょう。
海藻
海藻も食物繊維が豊富なものが多いため、菌活におすすめです。わかめを使った海藻サラダや、ひじきを使った煮物など、他の食材と組み合わせやすいのが特徴です。
果物
果物にも、善玉菌のエサになるオリゴ糖や食物繊維が多く含まれています。具体的には、以下の果物が菌活におすすめです。発酵食品のヨーグルトと一緒に食べるのもおすすめです。
<菌活におすすめの果物>
バナナ、りんご、パイナップル、キウイフルーツなど
飲み物
食べ物だけではなく、飲み物でも菌活でおすすめできるものがあります。具体的には、以下のとおりです。
<菌活におすすめの飲み物>
乳酸菌飲料、ハーブティー、スムージー、ココア
サプリメント
食材を揃えたり調理をしたりすることが忙しくて難しい、という方や手軽に菌活をしてみたい方にはサプリメントがおすすめです。どの菌をとればいいか分からない、という方にはさまざま菌がバランスよく含まれたサプリメントを選んでみてはいかがでしょうか。
- 価格:1,380円〜1,480円
- 容量:30粒(1日1粒)
- 菌の種類:ナノ型乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌
- 形状:カプセル
菌活すっきりは、10兆個のナノ型乳酸菌・19種の乳酸菌&ビフィズス菌を配合しているから、自分に合う乳酸菌を見つからない、という方にも試してほしいサプリメントです。実は、体内の乳酸菌には人それぞれ相性があるんです。
乳酸菌をサポートするガラクトオリゴ糖・難消化性デキストリン・イヌリン・サラシア・アップルファイバーを配合し、すっきりを目指します。
菌活を毎日の生活に取り入れて、心身ともに健康的な身体を目指そう!
本記事では、菌活の効果やメリット、やり方、おすすめの方法などについて詳しく解説しました。
現代は健康意識が高い方が多くなり、身体の内側からアプローチしていく方法が注目されています。今後も菌活の注目度は高くなり、実践していく方が増えていくことが予想されます。
特に重要なポイントが、腸内の善玉菌を増やすことです。善玉菌を増やすためには、以下のようなことを実践しましょう。
- 善玉菌を増やす食事(オリゴ糖や食物繊維)を意識する
- 運動習慣をつける
- 睡眠時間を確保する
- ストレス解消方法を身につけておく
腸の状態は脳の状態とも密接に関係しているといわれているため、メンタルの安定も大切なことです。
菌活を食品やサプリメントで毎日の生活に取り入れて、心身ともに健康的な身体を目指しましょう。