高血圧とは、血液が血管を通る時に血管の壁に与える圧力が正常より高くなる現象が続いている状態のことです。

高血圧は自覚症状が少ないのが特徴で、放置してしまうと重大な病気の引き金になることもあります。

そのため、高血圧を改善・予防するには日頃からのケアが大切です。

中でも有効な方法は「食事」とされていて、食習慣を見直せば、血圧の正常化に役立つと言われています。

では、具体的にどのような食事にしたら良いのでしょうか?

今回は、高血圧に悩んでいる人にお勧めした食事法を紹介します。
さらに、高血圧が気になる方におすすめの食材を使用したレシピも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

高血圧の症状とリスク

高血圧は自覚症状が出にくいと言われていますが、一体どんな症状が出るのでしょうか?

ここでは高血圧の代表的な症状と、そのリスクを紹介します。

初期症状は頭痛、めまい、肩こりから始まる

「頭痛」、「めまい」、「肩こり」は高血圧による初期症状として知られています。

しかし、これらの症状は日常生活でもよく現れる症状であるため、なかなか高血圧による症状だと気づきにくく自覚症状が出る頃には手遅れになるケースがほとんどです。

もし、市販薬を飲んでもこれらの症状が改善されない場合は、高血圧による症状の可能性があります。
深刻な症状になる前に、病院で検査・治療を受けましょう。

血管の損傷や動脈硬化を引き起こすリスクがある

初期症状を見過ごして放置してしまうと、高血圧の症状が深刻化し、血管の損傷や動脈硬化を引き起こすリスクがあります。

特に、動脈硬化が進行すると「心筋梗塞」や「脳卒中」などを引き起こすリスクが高くなるので注意が必要です。

ここ数年では、高血圧になる人は減少していると言われています。
厚生労働省の「令和4年国民健康・栄養調査結果の概要」には下記のような結果が出ています。

「収縮期(最高)血圧の平均値は男性 131.4mmHg、女性 125.5mmHg である。令和元年と比較して、男女とも有意な増減はみられない。
収縮期(最高)血圧が 140mmHg 以上の者の割合は男性 28.9%、女性 21.1%である。
令和元年と比較して、男性では有意な増減はみられないのに対し、女性では有意に減少している。」

高血圧に該当する人は年々減少しているものの、高血圧と診断されている人は少なくありません。
高血圧により動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞など、血管病のリスクも格段に上がるため、日頃からのケアが大切です。

手遅れになる前に対処することが大切

このような高血圧のリスクを避けるためには、症状が進行する前に適切な対策を行うことが大切です。

高血圧のリスクは年齢に比例すると言われていますが、生活習慣によっては若年層でも高血圧になる可能性があります。

そのため、早めに対処できるよう、日頃から血圧を測り、高血圧を予防する生活習慣を身につけましょう。

高血圧になる原因8つ

高血圧になる原因は主に8つあります。
ここでは、高血圧になる原因を詳しく解説します。

自分にいくつ当てはまるか確認してみましょう。

原因1:加齢

血管は通常弾力性がありしなやかな状態ですが、年齢を重ねると徐々に弾力を失い、硬く脆くなっていきます。
こうして血管が硬く脆くなると、血管の柔軟性が失われ、血液の流れにうまく対応できなくなります。
その結果、弱った血管の内壁に血液がぶつかると、リスクが高まると考えられています。

血管が硬く脆くなることは「血管の老化」とも言われており、 一般的に40歳前後から始まることが多いとされています。
しかし、個人差が大きく自覚症状もないため自分では気づけないことがほとんどです。

そのため、若いうちから強くしなやかな血管をキープできるよう、生活習慣を定期的に見直すことが大切です。

原因2:運動不足

現代人の運動不足も高血圧になる原因の1つと言われています。
運動をすると、血管が広がり、血の巡りが良くなることで血圧が正常に保たれ、汗をかくことで血圧を安定させるためのサポートが期待できます。

しかし、日常生活で運動が不足している人は、血の巡りが悪くなってしまうのです。

その上、汗をかいて塩分を排泄する頻度も少ないため、浮腫みやすくなったり、高血圧のリスクが上がると言われています。

原因3:喫煙

タバコに含まれているニコチンには、血管を収縮させる作用があるため、血圧が上がります。

喫煙者の中には、タバコを吸った後に指先が冷たくなった経験がある人も多いのではないでしょうか。

これはニコチンの血管収縮作用によるものです。

さらに、ヘビースモーカーになると血管が常に収縮された状態になるので、高血圧になるリスクがぐんと上がります。
また、タバコを吸うとニコチンだけではなく「一酸化炭素」も血管に取り込むことになります。
一酸化炭素は狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などにも深く関係しているので、高血圧のリスクが深刻化することも懸念されています。

原因4:飲酒

アルコールも高血圧になる原因の1つです。

アルコールを摂取すると、血管が拡張して血圧が下がりますが、その効果は一時的です。

血圧が下がる原理は、アルコール分解酵素によって「アセトアルデヒド」という物質に変化し、アセトアルデヒドが血液中に増加して血管を拡張させることで血圧が下がることがあります。

しかし、飲酒量が増えてアセトアルデヒドが酢酸に変化すると、血中濃度が下がり、血管が収縮するので、結果として血圧が上がってしまうリスクがあります。
さらに、お酒のお供に塩分の多いおつまみを口にすると、高血圧のリスクがより上がってしまうので注意が必要です。

原因5:気温の急激な変化

血圧の変化は、気温の変化にも大きく関係しています。

なぜかというと、気温が高くなると体は熱を放出するために血圧が低くなり、気温が低くなると熱を保持しようとして血管を収縮させるため、血圧が上がります。

そのため、寒暖差が大きい季節の変わり目は、血圧の変化が大きくならないように着るものや部屋の温度をこまめに調節し、血圧の変化をできるだけ小さくすることが大切です。

原因6:ストレス過多

ストレスによる自律神経の乱れも、高血圧に深く関係しています。

我慢したり、辛い思いをすると、自律神経が乱れ、血圧が上がります。

これが慢性化すると、高血圧につながるので注意が必要です。

ストレスは自分の気づかないところで知らず知らずのうちに溜まっていることもあります。
手遅れにならないために、定期的な心のケアを大切にしましょう。

原因7:乱れた食生活

食生活が乱れると、血圧に大きく影響を及ぼす可能性があります。

なぜなら、人間は体に必要な栄養素を「食べ物」から摂取しており、何を食べるかで健康が大きく左右されるからです。

血圧を正常に保つには、バランスの良い食事を心がけたり、血圧の正常化をサポートする食べ物を献立に取り入れるのがおすすめです。

原因8:塩分の過剰摂取

高血圧の人は、食生活の乱れに加え、塩分の過剰摂取も見直さなくてはなりません。

塩分を過剰摂取すると、一時的に高くなった血中塩分濃度を下げるために、体内に水分がため込まれます。
これによって、血管にかかる圧力が高まった結果、血圧が上がるリスクがあるので注意が必要です。

現代人は日頃から塩分摂取量が多いと言われています。
ですから、塩分の過剰摂取にならないためにも、食生活を直して高血圧を予防しましょう。

高血圧にならないためにはどうしたら良い?

では、高血圧にならないためには一体どうしたら良いのでしょうか?

ここでは、高血圧にならないために日常生活でできる対策法を紹介します。

ウォーキングをする

普段運動習慣がない人は、ぜひ日常生活に運動を取り入れてみてください。

運動をすると、血管が広がり、血の巡りが良くなることで血圧が正常に保つのをサポートしてくれます。

さらに、汗をかくことで血圧を下げてくれる効果も期待できるので、過剰摂取した塩分の排泄にも役立ちます。

しかし、日頃運動習慣がない人は、ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
そこでおすすめしたいのが「ウォーキング」です。

「ウォーキング」は心拍数が100~120拍/分を超えない低強度から中強度の運動にあたるため、老若男女取り入れやすいのが特徴です。
また、特別な道具もいらないので、すぐに始められます。

ウォーキングの1日の目安は約30分なので、通勤や通学、お出かけを徒歩に変えるのもおすすめです。
ぜひ習慣化して血圧の正常化に役立てましょう。

禁煙外来を活用する

たばこは高血圧を引き起こすだけではなく、さまざまな病気のリスクをあげてしまうので、禁煙することをおすすめします。
とはいえ、タバコは依存性が高いため、自力で禁煙するのは難しいと言われています。

そこで利用してほしいのが「禁煙外来」です。
禁煙外来を利用すれば、専門医から適切な指導と治療を受けられます。

「タバコが体に良くないのは分かっているけど辞められない」と感じている人は、高血圧によるリスクを減らすためにも、ぜひ1度受診してみてはいかがでしょうか。

お酒の量を控える

禁煙に並び、禁酒も血圧の安定を保つための手段として有効です。

適量のお酒なら血流を改善する作用が期待できますが、過剰に摂取すると高血圧に繋がるので注意が必要です。

1回あたりの飲酒量を抑えるだけではなく、定期的に「休肝日」を設けて、肝臓を休ませましょう。
一般的にお酒の適量は純アルコールに換算して「20g」と言われています。

お酒に換算した場合、お酒の種類や、飲む人の体格差によっても異なります。
おおよその目安量を表にまとめたので、お酒を飲む時の参考にしてください。

お酒の種類 アルコール度数 お酒の量
ビール (アルコール度数5度の場合) 中びん1本(500ml)
日本酒 (アルコール度数15度の場合) 1合(180ml)
焼酎 (アルコール度数25度の場合) 0.6合(約110ml)
ウイスキー (アルコール度数43度の場合) ダブル1杯(60ml)
ワイン (アルコール度数14度の場合) 1/4本(約180ml)
缶チューハイ (アルコール度数5度の場合) ロング缶 1缶(500ml)

参照:飲酒の基礎知識 -公益社団法人アルコール健康医学協会-

心のケアを大切にする

過剰なストレスを受けると血圧が上がりやすくなるため、定期的に自分自身と向き合い、心のケアをしてあげましょう。

特に、慢性化してしまったストレスは自分では気づきにくいので、ストレスの有無に関係なく定期的にストレスをデトックスすることが大切です。

例えば、映画が好きな人は、休みの日に映画を見に行く、頑張ったなと感じた日は自分にご褒美をあげるなど、自分に合ったケアを心がけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。

バランスの良い食事を心がける

乱れた食生活により、血圧が上がっている場合は、食生活を見直し、バランスの良い食生活を心がけましょう。

普段から外食が多い人は自炊に切り替えるところから始めてください。

バランスの良い食事の基本形は「主食・主菜・副菜」を取り入れることです。

「主食だけ」、「主菜だけ」、「副菜だけ」ではバランスが偏るのでおすすめしません。
「主食・主菜・副菜」の役割は以下の通りです。

  • 主食:ご飯、パン、麺類など、エネルギー源になるもの。
  • 主菜:肉、魚、卵、大豆製品など、タンパク質を多く含むもの。
  • 副菜:野菜、きのこ、海藻など、ビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含むもの。

これに加え、高血圧にならないように一工夫すれば、より健康をサポートしてくれるでしょう。
では、高血圧にならないためには何を意識したら良いのでしょうか?

次に、具体的な食事法について紹介します。

高血圧にならないための食事法

高血圧にならないためには、バランスの良い食事を心がけるだけではなく、いくつかのポイントがあります。

以下の3つのポイントを押さえて、高血圧の抑制・予防を心がけましょう。

塩分を控える

塩分を摂りすぎると高血圧のリスクが上がるため、日頃から塩分控えめの食事を心がけましょう。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には健康な人が摂取すべき塩分の目標値が性別・年代別に発表されています。

塩分の目標値の目安は以下の通りです。

性別 1日あたりの摂取量
男性 約7.5g(15〜64歳)
女性 約6.5g(15〜49歳)
約7.5g(50〜64歳)

ただし、この目標値はあくまでも健康な人の目標値であり、高血圧の人は1日あたり6g未満に減塩することが推奨されています。

しかし、塩味がないと味気なく感じてしまう人もいるでしょう。

楽しく美味しく減塩するためには、調味料を減らすだけではなく、減塩タイプの醤油や味噌煮切り替えたり、出汁を活用して旨味をプラスするなど、調理法を工夫することが、減塩を成功させるコツです。

ミネラルを豊富に含む食材を取り入れる

バランスの良い食事を取り入れる上で、ミネラルを豊富に含む食材を取り入れることも大切です。

なぜなら、ミネラルの一種である「カリウム」には、体内の塩分の排泄をサポートしてくれる役割があるからです。

ミネラルは野菜や果物に豊富に含まれています。
中でもおすすめしたい食材は以下の通りです。

【ミネラルを豊富に含む野菜】

  • ほうれん草
  • にんじん
  • 切り干し大根
  • アボカド
  • 枝豆

ほうれん草、枝豆、アボカド、にんじんはサラダがおすすめです。
カリウムを豊富に含む枝豆を使ったヘルシーサラダは栄養満点です。
枝豆にはビタミンB1も豊富に含まれており、疲労回復にも効果があります。

【ミネラルを豊富に含む果物】

  • バナナ
  • メロン
  • キウイフルーツ
  • 干し柿

フルーツは、アレンジせずにそのまま食べるのがおすすめです。
市販のジュースには砂糖などが含まれていることがあるため、選ぶ際には注意しましょう。

これらの食材を上手く取り入れてカリウムを効率よく摂取しましょう。

DHA・EPAを豊富に含む食材を取り入れる

高血圧の抑制・予防にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含む食材を取り入れるのもおすすめです。
EPA・DHAは、「n3多価不飽和脂肪酸」と呼ばれ、高血圧の抑制・予防に役立つと言われています。
EPA・DHAが豊富に含まれている食材は、サバやイワシ、サンマなどの青魚です。
これらが体内に入ると、血液の流れをサポートし、血栓の生成予防に役立つと言われています。

DHA・EPAが豊富に含まれているイワシを使ったレシピは、いわしの香草マスタード焼きがおすすめです。
塩分が少なくても、粒マスタードの辛味やレモンの酸味を取り入れることので、満足感の高い1品を作ることができます。
ご飯にもパンにも合うので、さまざまなシーンで活用ができます。

参考:いわしの香草マスタード焼き|高血圧の方のおすすめレシピ | 星ヶ丘医療センター | 地域医療機能推進機構

「魚料理は難しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、料理が苦手な方には「缶詰」の活用がおすすめです。
料理が苦手な人は、ぜひ「缶詰」を活用してみてください。
缶詰は調理済みでそのまま食べられるだけではなく、骨まで丸ごと食べられるので、青魚が持つ栄養をたっぷり摂取できます。

代表的な缶詰としては鯖缶がありますが、少し工夫して帆立の水煮缶を使うこともおすすめです。
帆立にはEPA・DHAに加え、グルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分が豊富に含まれています。

帆立の水煮缶を使う際は、ぜひ缶汁も活用しましょう。
缶汁には塩分も含まれているため、料理に活用すれば、調味料の量を減らせます。
華やかなちらし寿司は、パーティーメニューにもぴったりですね。

参考:帆立のちらしずし|高血圧改善|ヘルシーメニュー|オムロン ヘルスケア

高めの血圧を下げるのを助ける「キニシナイトGOLD 血圧ケア」

食事の工夫にプラスして、サプリメントも取り入れることもおすすめです。

キニシナイトGOLD 血圧ケアは、GABA(ギャバ)のチカラで、血圧が高めの方の血圧を下げるのを助ける機能性表示食品のサプリメントです。(届出番号:H1290)

さらに、ナットウキナーゼやサーディンペプチド、胡麻エキスなどのサポート成分もしっかり配合!

1日1粒の健康習慣で、とっても簡単です。普段の生活だけでなく、旅行や外出時にも持ち運べるから続けやすいですね。

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  • 形状:タブレット

食事内容を見直して高血圧を予防しよう

高血圧の抑制・予防にはさまざまな方法がありますが、食事内容を見直すことは効果的な方法の1つです。
食事内容の改善と聞くと、難しそうに感じるかもしれませんが、ほんの少しの工夫で血管の負担を減らすサポートをしてくれます。
ぜひ、今回紹介した食事法やレシピを参考にして、美味しく楽しく高血圧を予防しましょう。