GABA(ギャバ)という栄養成分をご存知ですか?
1950年に哺乳動物の脳からGABAが初めて抽出されて以来、多くの研究がされるようになりました。
今では、GABA成分が多く含まれるチョコレートが販売されるなど、知名度が上がってきています。
ただ、GABAは決してメジャーな栄養成分とはいえないため、どのような効果があるのかきちんと理解している方は少ないでしょう。
しかし、GABAは日々のリズムをサポートする成分として注目されており、研究が進められています。GABAを上手に取り入れて、毎日のコンディションを整える習慣を始めてみてはいかがでしょうか?
本記事では、GABAとはどのような栄養成分なのか、特徴を詳しく解説します。
GABAの基本情報
以下では、GABAの基本情報についてまとめます。GABAについてあまり馴染みがない方も、まずはこちらの内容を読んでいただき、頭に入れながらぜひ読み進めてみてください。
GABAとは?
GABAとは、人の体内に存在するアミノ酸の一種です。ガンマアミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の頭文字をとって「GABA」と呼ばれています。
現代はストレス社会といわれていて、ストレスを溜め込み体調を崩される方が多い傾向にあります。GABAはストレス軽減の効果が期待できるといわれているため、今後も注目され続ける栄養素の一つといえるでしょう。
機能性表示食品として注目
GABAは、特定保健用食品(トクホ)としては以前から注目されている成分です。2015年から機能性表示食品制度が開始されたことで、さらに注目度が増しています。
・特定保健用食品(トクホ)
食品に含まれる成分が、生理学的な機能に働きかけることで、特定の健康維持・サポートが期待できる食品です。トクホとして販売するためには、国の審査と許可を受ける必要があります。
(健康増進法第43条1項)
・機能性表示食品
機能性表示食品は、科学的根拠に基づいた成分が含まれており、選びやすいのが特長です。
消費者庁へ届け出がされているため、信頼性のある情報をもとに、自分に合った商品を選ぶことができます。
機能性表示食品は幅広い選択肢の中から、自分に合った商品を見つけやすいのが特長です。
現在、機能性表示食品の届け出件数は増えており、選択肢が広がっています。
食品 | 許可(届け出)件数 |
---|---|
特定保健用食品 | 1,032件 (2024年11月13日現在) |
機能性表示食品 | 9,138件 (2024年11月19日現在) |
GABAの1日の摂取目安量
1日の摂取目安量について、GABAには明確な規定はありません。GABAについてはまだ知られていないことが多くあるため、今後の研究が期待されています。
ただ、一般的にはGABAの1日の摂取目安量は30g以上が適当とされています。現在のところ、適量を守れば安心して取り入れられるとされており、食品やサプリメントで、日々のリラックス習慣に活用する方も増えています。
GABAのおもな効果
GABAが注目されるようになったのは機能性表示食品として使用されるだけではなく、以下のような働きが期待できるからといえます。
- 睡眠の質をよくする
- ストレス対策
- 高めの血圧をゆるやかにする
- 肌の弾力の維持
- 中性脂肪の上昇を抑える
それぞれについて、わかりやすくお伝えいたします。
睡眠の質をよくする
睡眠の質をよくしたい方にGABAは注目されています。
「質がよい睡眠」とは、眠りが深い睡眠を指します。眠りの深さ・浅さについては、「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の2つに分類されます。
睡眠の種類 | 睡眠の深さ・浅さ | 特徴 |
---|---|---|
レム睡眠 | 浅い |
・記憶の整理や定着がされる ・夢を見やすい ・目覚めがすっきりする |
ノンレム睡眠 | 深い |
・脳や身体が疲労回復される ・夢はほとんどみない ・眠りの深さによって、4段階に分けられる |
レム睡眠とノンレム睡眠は、約90分周期で繰り返されているといわれています。
ノンレム睡眠が少ないと脳も身体も疲労回復ができず、いくら寝ても疲れが取れない状況になる可能性があります。
GABAには睡眠の質をよくする効果が期待できるため、寝ても疲れが取れずに悩んでいる方は積極的に摂取してみましょう。
ストレス対策
GABAを摂取することで、精神を安定させてストレスを軽減する効果があるといわれています。
GABAを摂取する方の多くが期待している効果であり、ストレス対策を目的とした商品も多く販売されています。
健康な方にGABAが含まれている食品を摂取させて脳波測定すると、α波が上昇してβ波が低下して癒し効果を与えることが報告されています。
※α波:リラックス、安静時に出現しやすい脳波
※β波:集中時、緊張時に出現しやすい脳波
普段からストレスを多く感じている方に、ストレス対策としてGABAを取り入れてみてはいかがでしょうか。
高めの血圧をゆるやかにする
GABAを摂取するとノルアドレナリンの分泌が抑制されるため、リラックスした状態へ導きます。
※ノルアドレナリン:神経伝達物質の一つで、交感神経が優位になって神経が興奮状態のときに分泌されやすい。血圧や心拍の上昇を促す働きがある。
血圧の高めな健常者と軽症高血圧者に対してGABAクロレラ(小さな藻の一種)とプラセボ(偽薬)群に分けて投与したところ、GABAクロレラを摂取したグループで血圧が下降したことが認められた実験もあります。
参照:日本栄養・食糧学会誌|血圧が高めの健常者および軽症高血圧者に対するγ-アミノ酪酸高含有クロレラの効果
肌の弾力の維持
GABAには、肌のハリや弾力の維持も期待されています。
GABAを8週間摂取することで皮膚の弾力性を確かめる実験があり、GABAを摂取することで季節の変化による頬の弾力性の悪化を抑制することが示されています。
参照:三和酒類株式会社|γ-アミノ酪酸の経口摂取による皮膚状態改善効果
また、GABAは肌のターンオーバーの促進やヒアルロン酸の産生の促進に関与しているという研究結果もあり、美肌効果も期待できます。
中性脂肪の上昇を抑える
GABAには、血液中の中性脂肪の上昇を整えることが期待されています。血液中の中性脂肪値がやや高い方にGABAを摂取させたところ、4週間後には正常値に回復したという実験結果があります。
参照:佐々木泰弘・河野元信|ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察
男性は早ければ30代から、女性でも50代にもなると中性脂肪の数値に注意が必要です。この機会に中性脂肪の上昇を整える手段としてGABAを取り入れることも検討してみてはいかがでしょうか。
GABAが多く含まれている食品
GABAは、漬物や野菜に多く含まれていることがわかります。参考までに、多く含まれている食品を以下の表でまとめています。
食品 | GABA含有量(mg/100g) |
---|---|
トマト | 95 |
メロン | 63.0〜96.3 |
たくあん | 39〜95 |
キムチ | 38〜84 |
醤油(固形物) | 67〜79 |
奈良漬 | 58 |
西洋かぼちゃ | 56 |
野菜ジュース | 56 |
ミニトマト | 35 |
茶葉 | 24〜39 |
米酢 | 15 |
ワイン | 6 |
発芽玄米ご飯 | 5.2 |
<参照>
佐々木泰弘・河野元信|ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察
農研機構|機能性成分含有量データ(抜粋)
上記の表を参考にすると、GABAを積極的に摂取するための工夫として、以下のようなことを意識してみましょう。
- 白米より、発芽玄米や玄米を選ぶ
- 野菜や果物、漬物を積極的に食べるようにする
- キムチなどの発酵食品を食べるようにする
GABAの効果的な摂取方法
GABAを効果的に摂取するためには、どのような工夫が有効でしょうか。以
下では、GABAの効果的な摂取方法について解説します。GABAが多く含まれている食品を摂るだけではなく、よい機会なので効果的にGABAを摂取していきましょう。
たんぱく質とビタミンB6を一緒に摂る
GABAはアミノ酸の一種なので、アミノ酸のもとであるたんぱく質は積極的に摂取していきましょう。肉類や魚類、卵や乳製品に多く含まれています。
また、たんぱく質をアミノ酸に分解するためには、ビタミンB6が必要です。同時に摂取することで、GABAを効果的に摂取できるでしょう。
ビタミンB6を多く含む食べ物:鶏肉、まぐろ、ししとう、バナナ、米ぬかなど
腸内環境を整える
GABAを効率よく摂取するためにも、腸内環境を整えましょう。
腸内細菌のエサとなる食物繊維を多く摂取したり、発酵食品(ヨーグルトやチーズなど)を摂取したりして腸内の善玉菌を増やしていくことをおすすめします。
サプリメントなどで摂取する
GABAが含まれている食品は限られているため、食事だけで摂りきれない方もいるでしょう。
その場合は、サプリメントや機能性表示食品などで摂取することも一つの手段です。カプセルタイプや粉末タイプなど、いろいろな形状のサプリが販売されています。
GABA配合のおすすめサプリ
GABAを手軽に摂りたい方には、睡眠の質向上やストレスケアを意識した機能性表示食品も注目されています。
特に、GABAに加えてラフマ由来ヒペロシド・ラフマ由来イソクエルシトリンが含まれているサプリメントは、睡眠の満足感の向上や一時的なストレスの緩和をサポートすると報告されています。
- 価格:1,680円
- 容量:30粒(1日粒目安)
- 形状:タブレット
最近のGABA摂取における研究内容
GABAは注目度が高く、まだまだ解明されていない点も多いことから、現在もなおさまざまな研究がされています。
ここでは、GABAがどのような研究対象になっているのか、日常生活にどう役立つのか、2つの視点から紹介します。
eスポーツのパフォーマンス向上効果
eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)とは、コンピューターゲームやモバイルゲームなどの電子機器を用いた対戦競技です。
eスポーツの競技人口は世界中で増加傾向にあり、2025年には市場規模が3,000億円に到達するのではないかといわれています。
普段からゲームを行う習慣がある健常者にGABAを投与したところ、ゲームの中盤と終盤で深い集中状態(Zone状態)が維持される効果とゲームスコアの向上が確認されました。
参照:|株式会社ファーマフーズ|GABA摂取によるeスポーツのパフォーマンス向上効果を初めて発見“ゾーン”を維持するスポーツニュートリションが誕生
eスポーツに限らず、実際のスポーツや試験など集中力が必要とされる場面において、GABAを摂取することでパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。このようなGABAの効果を日常に活かすためにも、普段から以下のようなことを意識してみてはいかがでしょうか。
- GABAが多く含まれている食品をとりいれる
- 生活習慣を整える(食事、睡眠、ストレス対策など)
- 集中力を整えるための工夫を考える(リラックス方法、集中できる環境の構築など)
軽い運動の併用によるひざ伸展筋力の増加
加齢とともに筋力が低下し始めている健常者に対して、GABAの投与と軽い運動を組み合わせたらどのような結果になるかという研究がおこなわれています。
プラセボグループと比較すると、GABAグループは6週目に膝伸展筋力(膝を伸ばすために必要な大腿四頭筋の筋力)の維持に効果的という結果が示されています。
普段から運動不足であることを実感している方は、日々の運動とともに、日々の健康習慣のひとつとしてGABAを取り入れてみても良いかもしれませんね。
GABAの摂取を毎日の生活に取り入れて、健やかな生活を目指そう!
本記事では、GABAとはどのような栄養成分なのか、特徴を詳しく解説しました。
GABAは、人の体内に存在するアミノ酸の一種です。ストレス社会という現代の社会的状況にマッチする栄養素ということもあって、ストレス対策や睡眠の質を上げる効果が期待されるGABAは注目度が高い栄養素の一つといえます。
体内で生成されるだけでなく、食品からも摂取できます。ただ、GABAが含まれている食品は限られているため、サプリメントや機能性表示食品で補うこともおすすめです。
現在もさまざまな研究がされていて、いまだ解明されていないことが今後発表される可能性もある栄養素です。GABAは現代においてニーズが高い栄養素といえるため、毎日の生活に取り入れて健やかな生活を目指しましょう。