尿酸値が高い方は「尿酸値って何？」「何で急に数値が上がったの？」と不安に思われているのではないでしょうか。
尿酸値が高いと「痛風」をはじめ、体の節々で炎症が発生するリスクが高まることがあります。
本記事は尿酸値とプリン体について分かりやすく解説しています。尿酸値を下げたい方におすすめの食べ物4つと、生活習慣改善方法をご紹介します。
尿酸値が高いまま放置すると、健康に影響を及ぼす可能性があります。病気を予防するためにも、今すぐ取り組めることを実践してみてください。
健康診断や人間ドックの血液検査の項目の1つに尿酸値（血清尿酸値）があります。健診結果で尿酸値を指摘され、初めてこの言葉を知った方も多いのではないでしょうか。
ここでは尿酸値と高尿酸血症、プリン体との関係について分かりやすく解説します。
尿酸とは「体内の新陳代謝の過程で発生する老廃物」のことです。人間の体は日々新陳代謝を繰り返しています。そして新陳代謝の過程で発生した老廃物は、尿として排出されます。
尿酸値とはこの老廃物を数値化したものです。尿酸値の数値が基準より高い場合は、尿として排出される老廃物が体内に残っていることを意味します。
尿酸値が高い状態が続くと健康に影響を及ぼす可能性があるため、再検査や医師から食事や生活指導を受ける場合があります。
尿酸値が高くなる原因は主に下記2つです。
「暴飲暴食」や「激しい運動」は体内でつくられる尿酸の量が多くなる原因です。またストレスや、肥満も体内で尿酸が多くつくられる原因につながります。
尿酸が外に排出されず体内に残ってしまうのは、肝臓機能の低下が考えられます。肝臓が正常に機能していない場合は、不要な物質を外に出せず体内に留まってしまうためです。
尿酸値は性別や年齢に関係なく7.0mg/dℓ以内が正常な数値です。この値を超えた状態を「高尿酸血症」と呼びます。
高尿酸血症は、尿酸という残骸が体内に過剰に存在している状態をさします。
高尿酸血症は特に自覚症状がないため、すぐに改善に取り組む気持ちにならない方も多いかもしれません。
しかし、高尿酸血症は放置すると内臓や関節に悪影響を及ぼす可能性がある怖い状態です。なるべく早めに尿酸値を下げる方法を試しましょう。
参考：血清尿酸値の正常値は？ ｜ 公益財団法人 痛風・尿酸財団 (tufu.or.jp)
プリン体とは、多くの食品に含まれている栄養素の1つです。プリン体は体内に入ると分解されて尿酸に変わります。
プリン体は体にとって不可欠な成分です。しかし過剰に摂取すると体内でうまく分解されず、尿酸値が上がってしまいます。
痛風をはじめとする健康問題を引き起こす可能性があるため、バランスの取れた食生活を意識することが大切です。
尿酸値が高いとかかりやすい病気があります。代表的な病気は下記のとおりです。
それぞれ詳しくお伝えします。
痛風は尿酸値が高いとかかりやすい代表的な病気として知られています。
痛風は尿酸が結晶化して関節に沈着し、激しい痛みや腫れを引き起こす病気です。足の親指の付け根に発作が起こることが多いですが、足首、膝、手首など他の関節に発症する可能性もあります。
痛風発作は数時間から数日で治まりますが、繰り返し起こることで関節の変形や機能障害につながることのある病気です。
腎臓は血液中の老廃物や余分な水分を尿として排泄する役割を担っています。
尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が腎臓に沈着して腎機能を低下させることがあります。
腎機能が低下すると血液中の老廃物や水分をうまく排泄できません。その影響でむくみや倦怠感、息切れなどの症状が現れるようになります。
さらに進行すると、腎不全に至るケースもあります。
尿路結石は尿中に含まれるカルシウムや尿酸などが結晶化して石状の塊になる状態です。何らかの理由で尿が濃縮されることで塊が形成されやすくなります。尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに発生します。
結石が小さいと自然に排出されることもありますが、大きい場合は腰や腹部に激しい痛みや吐き気、血尿などの症状が現れるのが特徴です。
尿酸値を下げたい方はバランスの取れた食事を心がけることが大切です。
具体的には、ミネラルが豊富な野菜や海藻類がおすすめです。
特におすすめな食べ物は下記4つです。
1つずつお伝えします。
尿酸値を下げたい方にはひじきがおすすめです。ひじきにはカルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれているためです。
またひじきには食物繊維も多く含まれているため腸内環境の改善も期待できます。
おすすめの調理方法はサラダや煮物、炊き込みご飯です。尿酸値の管理のために、定期的にひじきを食事に取り入れると良いでしょう。
こんぶも尿酸値を下げたい方におすすめの食べ物です。こんぶにはカルシウム、マグネシウムのほかヨウ素などの豊富なミネラルが含まれています。
こんぶはスープや煮物、酢の物として手軽に取り入れることが可能です。特に、だしとして使用することで、料理に旨味をプラスする効果もあります。
ほうれん草は、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、尿酸値を下げたい方におすすめの食べ物です。特にカリウムやマグネシウムが多く含まれており、ミネラルは体内の酸性度を中和して尿のpHを調整します。
またほうれん草は抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEも豊富です。
ほうれん草はサラダやおひたし、スムージーなど、さまざまな形で摂取可能です。毎日の食事に手軽に取り入れられるでしょう。
短時間で火を通すことで、栄養素を損なわずに摂取することができます 。
ごぼうもマグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富なため、尿酸値を下げたい方におすすめの食べ物です。
ごぼうに含まれているイヌリンが善玉菌の栄養源となり、腸内環境を整える効果が期待できます。
腸内環境が整うことで、体全体の健康状態が改善される可能性が高まります。
煮物やきんぴら、サラダなどさまざまな料理に活用できるごぼうは、日常の食事に取り入れやすい食材です 。
尿酸値を下げるためにはプリン体の摂取量を控えるだけでなく、水分をたくさん摂取することも大切です。
水をたくさん飲むと尿が増えるため体内の老廃物を排出する機会も増えます。結果的に尿酸値を下げる効果につながります。
水分摂取が尿酸値を下げる効果は主に下記3つです。
1つずつ詳しくお伝えします。
尿酸は水に溶けて尿中に排泄されます。そのため、水分を十分に摂取することで尿量を増やし、結果的に尿酸の排泄を促進することができます。
厚生労働省が提供しているe-ヘルスネットでは、高尿酸血症の人は1日に1.5〜2リットルの水分摂取を推奨しています。
水分が少ないと自然と尿量も少なくなり、尿中の尿酸濃度がが高くなります。すると尿路結石ができやすい状態になってしまうため、水をたくさんとって濃度を少なくしましょう。
参考：高尿酸血症 | e-ヘルスネット（厚生労働省）
水分を十分に摂取することで血液やリンパの流れが活発になり、体内の老廃物が排出しやすくなります。
尿酸も老廃物の一種であり、水分を十分に摂取することで尿酸の排泄を促進することが可能です。
適切な水分を取得することは、高尿酸血症を予防するだけでなく体内の老廃物を自然に排出する効果に期待できます。
参考：痛風 | 一般社団法人 日本リウマチ学会（JCR）
水分を十分に摂取することは体内環境を整えることに繋がります。体内環境が整うことで体の新陳代謝が良くなり、体脂肪の燃焼や免疫機能の向上に期待できます。
体脂肪の燃焼が良くなると体重管理がしやすく肥満を防ぎやすいです。また免疫機能が上がれば、病気への抵抗力が強くなり健康な体を維持しやすくなります。
十分な水分をとり体内環境を整えることは、健康的な尿酸値を維持するのに欠かせません。
プリン体が多い食品を摂り過ぎると、尿酸値が上がる傾向にあります。尿酸値を下げたい方は、プリン体が多く含まれる食品の摂取を控えることが重要です。
高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、1日のプリン体摂取は400mg以内を目安としています。
下記は公益財団法人痛風・尿酸財団が発表しているプリン体を多く含む商品の1部です。
| プリン体含有量 | 目安 | 主な食品 |
|---|---|---|
| 300mg以上 | 極めて多い | 鶏レバー、まいわしの干物 いさきの白子、鰹節、煮干し、干ししいたけなど |
| 200～300㎎ | 多い | 豚レバー、牛レバー、かつお、大正エビ、さんまの干物など |
※『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』を基に筆者作成
料理方法を工夫することでプリン体の摂取量を減らすこともできます。プリン体は水に溶けやすいため、肉や魚はゆでたり煮たりして調理するのがおすすめです。
参考：食品・飲料中のプリン体含有量 ｜ 公益財団法人 痛風・尿酸財団 (tufu.or.jp)
レバーはプリン体の多い食品の1つです。特に鶏レバーは100gで1日の摂取目安である400mg近くを含んでいます。大量に摂取すると尿酸値を高めるリスクがあります。
尿酸値を下げたい方は、1日の摂取目安を超える量の摂取を控えた方が良いでしょう。
| 種類 | プリン体含有量 |
|---|---|
| 鶏レバー | 312.2mg/100g |
| 豚レバー | 284.8mg/100g |
| 牛レバー | 219.8mg/100g |
※公益財団法人痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」を基に筆者作成
参考：食品中プリン体含量(tufu.or.jp)
栄養価の高い食材でもあるレバーですが、プリン体も多い食材であることを忘れずに適量を取りましょう。
アルコールもプリン体の多い食品の1つです。アルコールが体内で分解される過程では乳酸が発生します。乳酸は尿酸が体外にでるのを妨げる働きがあるため、尿酸値が上がる傾向にあります。
市場ではビールのプリン体オフ商品が出回っているため、アルコールの中でもビールだけにプリン体が多く含まれていると感じる方も多いかもしれません。しかし、アルコール全体に尿酸値を上げる効能がありますので尿酸値が気になっている方は注意が必要です。
厚生労働省によると健康な人の「節度ある適度な飲酒」は、1日平均純アルコール約20gを推奨しています。具体的な酒類の目安は下記のとおりです。
お酒の好きな方は適量を楽しみましょう。
清涼飲料には果糖（フルクトース）を含むことがあり、過剰に摂取すると肥満になる可能性があります。
肥満になると体内の新陳代謝が悪くなり、尿酸値が上がる可能性が高まります。特に砂糖入りのソフトドリンクやエナジードリンクは飲み過ぎに注意しましょう。
尿酸値を下げたい人は清涼飲料の代わりにできるだけ水やお茶などを飲むのがおすすめです。
毎日バランスの取れた食事を自炊するのは大変な方も多いでしょう。
コンビニの食事でも工夫しだいでは尿酸値を上げないようにできます。
コンビニの食事が多くなりがちな方は、ぜひ参考にしてください。
コンビニ弁当は主食、主菜、副菜がバランスよく揃っているものを選ぶのがおすすめです。主菜は揚げ物を避け、鶏肉や魚でプリン体の少ない部位、たとえば鶏もも肉や白身魚にすると良いでしょう。
おにぎりの場合は具材に注意して海苔や昆布など低プリン体を選びます。
主菜が脂っぽい物になってしまう場合は、副菜に野菜や海藻類が豊富に含まれたサラダやおひたしを選び、バランスを取るようにしましょう。
コンビニでは野菜や海藻を含んだスープを販売しているため積極的に活用しましょう。たとえば具沢山の野菜スープや味噌汁を取れば、プリン体の摂取を抑えつつ栄養バランスを保つことが可能です。
また、スープを食事の最初に飲むことで満腹感が得られるため、主食やおかずの摂取量を自然に減らすことに繋がります。
コンビニは糖質オフの商品が多く販売されています。糖質の高い食品は尿酸値を上昇させる可能性があるため、糖質オフの食品を取り入れて糖質をコントロールするのも選択肢の1つです。
糖質オフのスナックやデザートも充実しているのもコンビニの特徴といえるでしょう。ドーナツやアイスクリームも糖質オフバージョンがあり手軽に購入可能です。
糖質オフの食品を積極的に取り入れることで糖質制限をサポートしてくれます。
ただし、糖質オフ商品は塩分が多めの商品もあります。成分表示をよく確認して購入しましょう。
尿酸値を下げるには食べ物を制限しただけでは改善できない場合もあります。
理由は以下のとおりです。
1つずつ詳しくお伝えします。
1つ目の理由は、プリン体は食べ物から体内に入るだけでなく自然に体内で生成されている成分であるためです。健康な人の体内には常に1200㎎の尿酸が存在しています。
古い尿酸は尿や汗として排出され、体内で循環される仕組みです。
上記の理由から食事制限だけでプリン体を減らすのは難しいといえるでしょう。
2つ目の理由は臓器が尿酸を効果的に排出できない場合、尿酸値は高くなる傾向にあるためです。
特に腎機能が低下している場合は、尿酸が体内に蓄積しやすくなり、数値が高くなる可能性があります。
そのため、食事改善だけでは尿酸値を下げる結果に繋がらない場合があります。
食事だけで尿酸値を下げる効果につながらない3つ目の理由は、ストレスや運動不足などの生活習慣も尿酸値に大きな影響を与えるためです。
規則正しい生活リズムを維持することで、肝機能が正常に働き結果的に尿酸値を下げることに繋がります。
尿酸値を下げるためには、食事だけでなく生活習慣全体を見直すことで効果的に尿酸値をコントロールできる可能性が高まります。
食事以外で尿酸値を改善する4つの方法をお伝えします。
尿酸値が高くなる理由や原因は人によってもさまざまです。食事以外で改善できる方法もぜひ試してみてください。
肥満を避けることが食事以外で尿酸値を下げることのできる1つ目の方法です。
肥満になると体内で尿酸が生成される量が増加し排出が難しくなる傾向にあるためです。
適切な体重を維持することで尿酸値の上昇を防げる可能性が高まります。また適切な体重維持は、健康維持に大切です。
ただし自己判断で極端な食事制限をしては、かえってストレスを溜めてしまう原因にもなりかねません。
1日に必要なカロリーは年齢、性別、筋肉量によって異なります。自分に適切な数値を主治医から指導してもらい、カロリーを摂り過ぎている場合は食事の量を適量にしましょう。
食事以外で尿酸値を改善する2つ目の方法は、適度な運動をすることです。
適度な運動は体重管理に効果があるためです。肥満を予防することで尿酸の生成を減らす効果が期待できるためです。
また適切な体重管理はメタボリックシンドロームの予防にもなります。
運動をすると体が温まったり汗がでたり血液循環が良くなります。
運動は肝臓機能の働きを高める効果があるためです。肝臓が正常に機能すると尿酸を効率よく排出することにつながるため、尿酸値の上昇をコントロールできると効果に期待がもてます。
運動といっても過度に体に負担のかかるスポーツをする必要はありません。ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです。
ストレスを溜めないことが食事以外で尿酸値を下げるための3つ目の方法です。ストレスでホルモンバランスを崩すと、肝機能の動きが鈍くなるためです。結果として尿酸値が上昇する可能性があります。
気分が落ち込むと活性酵素が多くなり肝臓に負担をかける傾向があります。
ストレスを溜めないためには自分なりのリラックス方法や趣味の時間をとり入れ、心身のバランスを保つことが大切です。
また十分な睡眠もストレス管理に効果があります。睡眠時間を意識的に確保し健康的な生活を送りましょう。
4つ目の食事以外で尿酸値を下げる方法は、医師の指導の下で薬を服用することです。高尿酸血症の人には尿酸値を下げるための薬が処方される場合があります。
薬の服用は医師の判断のもと定期的に医師の診察を受けることが重要です。薬の効果を確かめながら治療を受けましょう。
薬の効果を最大限に引き出すためには規則正しい生活習慣や十分な水分摂取のほか、適度な運動も併せて行うと良いでしょう。
尿酸値を下げる食べ物についてよくある質問をまとめました。
ぜひ、参考にしてください。
研究データによってはコーヒーを飲む人は尿酸値が低い傾向にあるともいわれています。
ただしコーヒーの種類や量、個人の体質によっても効果は異なります。そのため一概に効果があるとはいえません。
納豆のプリン体含有量は、100gあたり約113mgです。納豆には食物繊維も多く含まれており、尿酸の排泄を促進する効果が期待できます。しかし納豆が尿酸値を下げる効果は証明されていません。
納豆には食物繊維のほか豊富なたんぱく質やビタミンKなども含まれています。尿酸値を下げることを目指した食事をとりたい方は、総合的なバランスが大切です。
参考： 食品中プリン体含量 (tufu.or.jp)
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尿酸値を下げたい方におすすめの4つの食べ物と、生活習慣改善方法についてお伝えしました。
尿酸値を下げるためにはバランスの取れた食事が大切です。特にプリン体を多く含む食品の摂り過ぎには注意しましょう。ただし、食事制限だけで尿酸値を下げるのは難しい場合があります。
ストレスを溜めず適度な水分補給と運動を心がけて日々を過ごし、健康な体を維持することが、尿酸値を下げることにも繋がるでしょう。
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