「生理前になると眠くて仕方がない」「生理前の眠気で仕事にならない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。生理前の眠気は多くの女性がかかえる悩みの1つです。

ホルモンバランスの変化が体に及ぼす影響で、生理前は特に眠気が強くなる傾向があります。本記事では生理前の眠気の原因と眠気を払拭する4つの対処法を解説しています。

普段から取り組める対策を理解することで、生理前の眠気を軽減し快適な日々を過ごせるようになるでしょう。

生理前に眠くなる3つの原因

生理前に眠くなる主な原因は下記3つのとおりです。

  • 女性ホルモンの変化で体温が下がらない
  • 自律神経の乱れ
  • セロトニンの減少

1つずつ詳しくお伝えします。

原因①女性ホルモンの変化で体温が下がらない

生理前に眠くなる1つ目の原因は、女性ホルモンが変化する影響で体温が下がらないためです。

通常体温は夜になると下がり、人は自然な睡眠にはいりやすくなります。

しかし生理前はプロゲステロンの分泌が増加し、体温が上がり続けるため、体がリラックスモードになりにくいです。

この状態が続くと眠りが浅くなり、昼間に強い眠気を感じることがあります。
またプロゲステロンの増加により代謝が活発になることで、エネルギーの消費が増え、疲労感も加わり、さらに眠気を引き起こします。

生理前はホルモンバランスが変化することで、体温調整がしにくいため、昼間に眠気を感じる人が多い傾向です。

原因②自律神経の乱れ

生理前に眠くなる2つ目の原因は、生理前に自律神経のバランスが乱れやすくなることです。

女性の体は生理周期を通じてホルモンバランスが変動します。このホルモンバランスの変化が自律神経にも影響を与えるためです。

自律神経は緊張やストレスで優位に立つ「交感神経」と睡眠時やリラックスした時に優位に立つ「副交感神経」の2つに分かれます。

2つの神経は次のような影響を及ぼします。

  • 交感神経:血圧の上昇、胃腸の働きが弱くなる
  • 副交感神経:血圧が下降、胃腸が活発になる

2つの神経が相互に働くことでバランスが保たれ心身が安定しますが、生理前は交感神経が優位な状態です。

緊張や不安などのストレスで、消化不良を起こす場合もあります。
そのため良質な睡眠をとることが難しく、昼間に眠気を引き起こす原因となります。

原因③セロトニンの減少

生理前に眠くなる3つ目の原因は、リラックスや安眠に影響を与えるセロトニンが減少することです。

生理前に起こるエストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスの変化はセロトニンの分泌に影響を与え、セロトニンの分泌量は低下します。
そのため気持ちが落ち着かなくなり、睡眠の質が低下する傾向があります。

結果的に生理前になると昼間に眠気を感じることが増え、集中力や作業効率にも影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
セロトニンの減少は、睡眠の質を低下させるだけでなく、全体的な気分の安定にも影響を与えるといえます。

セロトニンとは

神経伝達物質の1つであるセロトニンは、脳内で重要な役割を担っています。

ちなみに神経伝達物質には、快楽を感じるドーパミンや恐怖や驚きを伝えるノルアドレナリンなどがあり、気分や体の動きをコントロールする役割があります。

セロトニンは主に気分の安定や睡眠の調整に影響を与える神経伝達物質です。
セロトニンは脳内の神経細胞同士のコミュニケーションを助け、リラックスや幸福感をもたらすことから「幸福ホルモン」とも呼ばれます。

セロトニンが減少するとストレスや不安感が増加することから睡眠の質が低下しやすくなり、日中の活動にも影響を与えることがあります。

生理前やストレスの多い時期はセロトニンが減少する傾向があるため、バランスの良い食事や適度な運動を心掛けることが重要です。

セロトニンは全体的な精神的健康と生活の質を向上させる鍵ともいえるでしょう。
参考:セロトニン | e-ヘルスネット(厚生労働省)

セロトニンとトリプトファンの関係

トリプトファンとセロトニンの関係は、睡眠の質や全体的な気分の安定に深く関係しています。
生理前のセロトニンの減少を補うには、必須アミノ酸であるトリプトファンの摂取が必要です。

トリプトファンは体内では生成できないため、食事から摂取する必要があります。
トリプトファンは体内に入るとセロトニンに変換され、その後メラトニンという睡眠ホルモンに変わります。

トリプトファンが不足するとセロトニンの生成が低下し、気分の不安定や睡眠障害を引き起こす原因にもなります。

生理前にセロトニンが減少すると眠気を感じやすくなるため、日頃からトリプトファンを含む食品を積極的に摂取しましょう。

セロトニンを増やす食べ物一覧

セロトニンを増やすには、トリプトファンやビタミンB6が多く含まれている食べ物を摂取するのがおすすめです。

下記はトリプトファンやビタミンB6が多く含まれている食べ物です。手軽に摂取しやすい食べ物もあるため、積極的に取り入れてみると良いでしょう。

食べ物の種類 トリプトファン含有量(100gあたり) ビタミンB6含有量(100gあたり)
バナナ 10mg 0.38mg
ヨーグルト/脱脂加糖 54mg 0.02mg
ひきわり納豆 250mg 0.29mg
めばちまぐろ/赤身 320mg 0.76mg
カシューナッツ 370mg 0.46mg

トリプトファンやビタミンB6は熱に弱いため、そのまま食べられるものがおすすめです。調理する場合は長時間加熱するよりも、さっと焼いたり煮たりするだけの調理方法が良いでしょう。

極端に1つの食べ物だけを多く摂取すると栄養が偏ってしまうため注意が必要です。バランス良く色々な食べ物を取り入れるのが良いでしょう。

参考:食品成分データベース(文部科学省)

生理前の眠気は女性ホルモンの仕組みを理解しよう

女性ホルモンの仕組みについて理解するには下記3つについて知っておきましょう。

  • プロゲステロン
  • エストロゲン
  • 女性ホルモンのライフステージへの影響

詳しくお伝えします。

プロゲステロンとは

プロゲステロンは、生理周期と妊娠の維持において重要な役割を果たす女性ホルモンです。
プロゲステロンは排卵後に急激に増えることで、子宮内膜を厚くして受精卵の着床を助ける役割を果たしています。

生理前にプロゲステロンが急激に減少することで子宮内膜が剥がれ落ち、月経が始まります。
プロゲステロンが増えたり減ったりすることが、気分の不安定や体温の変化を引き起こしやすくする原因の1つです。

また妊娠時にプロゲステロンの分泌が増加することで妊娠を維持し、出産の準備を整える役割を果たしています。

卵胞期と黄体期のプロゲステロンの変動は、生理周期全体の調整に不可欠です。
プロゲステロンは女性の生殖機能と月経周期において重要な役割を担っています。

エストロゲンとは

エストロゲンは、女性の生殖機能と体全体を健康に維持するために重要なホルモンです。
エストロゲンは生理周期の前半に上昇し、子宮内膜を厚くする役割があります。

排卵後には一時的に低下しますが、その後再び上昇して生理前にはピークに数値が上がります。

エストロゲンとプロゲステロンの相互作用が女性ホルモン全体のバランスを保っていますが、バランスが崩れると、月経不順や気分の変動などの問題が生じることがあります。

エストロゲンの変動は、女性の体が毎月の月経に適応するための重要なメカニズムです。
エストロゲンの役割は月経周期の調整だけでなく、骨密度の維持や心血管系の健康にも関与しています。

女性ホルモンのライフステージへの影響

女性ホルモンは、生涯にわたって女性のライフステージに影響を及ぼします。

たとえば、20代から30代の女性は、PMS(生理前症候群)や月経困難症に悩まされることが多く、気分の変動や体調不良を感じる人が多いでしょう。
このホルモンの変化が生活環境にも影響を与えることもあります。

更年期に入るとエストロゲンの分泌が減少し、のぼせや足腰の冷え、疲労感などの症状が現れることもあります。

各ライフステージでの女性ホルモンの変動に対応するためには、適切なケアと生活習慣の見直しが重要です。

女性ホルモンはその時々の体調や気分に深く関係し、女性の健康に大きな影響を与えます。

生理前に眠くなったら日中にできる対処法

生理前の眠気は、多くの女性が経験する自然な現象の1つです。

ホルモンバランスの変化によって引き起こされる眠気に対処するために、日中でもできる具体的な対処法を4つお伝えします。

ぜひ、参考にしてください。

対処法①軽い運動をする

生理前に眠くなったら日中にできる対処法は軽い運動をすることです。
軽い運動は血流を良くし、眠気が軽減されるためです。腕や足を伸ばし全身の筋肉をほぐす軽いストレッチが良いでしょう。

また、首や肩のストレッチを重点的に行うと、長時間のデスクワークによる肩こりや目の疲れに効果的です。

首や肩の緊張が緩和され、眠気を覚ます効果が期待できます。ぜひ、毎日の習慣に取り入れてみてください。

対処法②カフェインを摂る

カフェインの摂取も日中に眠気を防ぐ即効性のある対処法です。
カフェインには覚醒効果があり、眠気覚ましになる効果に期待できます。

ブラックコーヒーやエスプレッソなど、カフェインを豊富に含む飲み物はすぐに効果を感じる傾向があります。

カフェインはエネルギードリンクにも含まれている場合が多く、特に疲労感を感じている時には効果的です。

ただしカフェインには興奮作用もあるため、飲みすぎには注意しましょう。

対処法③思い切って仮眠する

可能であれば思い切って仮眠を取るのも眠気をさます効果的な対処法です。

ただし、長時間の仮眠は夜の睡眠に影響を与えるため、15〜20分の短い仮眠にしましょう。

眠気がピークの時に短時間の仮眠を取ることで脳がリセットされ、その後のパフォーマンス向上に期待できます。

深く眠り込まないようにアラームをセットすることで、安心して眠りに入れます。目覚まし時計をかけてから仮眠をとるようにしましょう。

対処法④冷水で手や顔を洗う

冷水で手や顔を洗うことで、素早く眠気を取り除くことができます。冷たい水で手を洗うと爽快感が得られ、目が覚めるためです。

手首から指先まで念入りに洗うことで血管が刺激され、眠気が追い払拭されます。
冷水で洗った後は清潔なタオルで手をしっかりと拭き、手が冷え過ぎないように注意しましょう。顔も同様に冷水で洗うとさらに効果が期待できます。

生理前の眠気を防止するために普段からできる対策

生理前の眠気を防止するためには、普段からいくつかの対策を取ることが大切です。
日常生活に取り入れやすい具体的な方法を5つご紹介します。

対策①リズム運動をする

普段からリズム運動をすることで生理前の眠気を防止できます。
リズム運動とは音楽やリズムに合わせて全身を動かす運動です。リズム運動はセロトニンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります。

具体的には、エアロビクス、ヨガなどがおすすめです。そのほかにも一定のリズムで体を動かすウォーキングでも効果が期待できます。

無理のない範囲で毎日30分程度の運動を取り入れると、適度な疲労感が自然な眠気を誘うため生理前の眠気対策になります。
自分にとって、日常生活に簡単に取り入れられる運動を選びましょう。

対策②適切な睡眠時間を確保する

適切な睡眠時間を確保することも、生理前の眠気を防止するために普段からできる対策の1つです。

睡眠不足は脳機能の低下や精神的ストレスの増加を引き起こす原因となるためです。

さらに睡眠不足は肥満にも影響することが分かっています。寝不足は食欲を増進させるホルモンが増加するためです。
8時間寝た人の場合と5時間の睡眠をとった人とでは、食欲を増進させるホルモンが約15%多く、食欲を抑えるホルモンは約15%少ないとも言われています。

良質な睡眠を確保することで、女性ホルモンに良い影響を与えるだけでなく、生活の質を向上させる効果も期待できます。

参考:一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「働く女性の心とからだの応援サイト」

対策③湯船につかる

湯船につかることで生理前の眠気を防止する対策になります。
就寝前の1〜2時間前にぬるめのお湯にゆっくりとつかることで体がリラックスし、疲労が和らぐため深い眠りにつきやすくなります。

就寝前に湯船につかることで体温が上がり、その後急激に下がることで質の良い眠りに繋がるためです。

湯船に浸かる時間は10〜15分程度がおすすめです。
長時間の入浴はのぼせや脱水症状に繋がる場合もあります。毎晩のリラックスタイムとして適切な時間で湯船につかり、心と体をリセットする時間を作りましょう。

参考:大阪市水道局:ええことづくめ!お風呂の健康効果とおすすめの入浴法 (広報・広聴>知ってますか?水道の“ええ”使い方)

対策④寝る前にストレッチする

寝る前のストレッチは、生理前の眠気を防止する対策です。寝る前の軽いストレッチは日中の疲れを緩和し、眠りの質を改善する効果があるためです。

ストレッチをする際は、深い呼吸を意識するのがおすすめです。
リラックス効果が高まり、ストレス解消にも繋がります。特に、背中や脚の筋肉をゆっくりと伸ばすと効果的です。

毎晩の習慣にすることで、リラックスして深い眠りにはいりやすくなるでしょう。

対策⑤バランスのとれた食事をする

生理前の眠気を防ぐ対策としてバランスのとれた食事をするのがおすすめです。

バランスのとれた食事は、ホルモンバランスを整える効果があるためです。トリプトファンやマグネシウムを含む食品を積極的に摂取しましょう。

乳製品、バナナ、ナッツ類は手軽にとれるため忙しい方にはおすすめです。

さらに朝食をしっかり摂り、夜遅い時間の食事はなるべく控えましょう。
規則的な食生活は体内時計を整える効果も期待できます。

生理前の眠気についてのよくある質問

生理前の眠気について、多くの女性が疑問を抱いています。ここではよくある質問にお答えします。

生理前のいつから眠くなりますか?

生理前の眠気には個人差がありますが、多くの女性は生理が始まる1週間前くらいから眠気を感じる傾向があります。

この時期はホルモンバランスの変化が大きくなるため、規則正しい生活を意識し体調管理に気をつけましょう。

月経前症候群とPMSの違いは?

生理前になると眠気が強くなる症状は、月経前症候群(PMS)の一種です。

PMSはイライラや頭痛など他にも多くの症状を含みますが、眠気はその中の一つです。

外食が多いのですが、バランスの取れた食事をとるにはどうしたら良いですか?

外食が多い方は、健康維持のために食事のバランスを取るようにしましょう。

特に生理前には鉄分やマグネシウムが不足しがちです。食事の補完としてサプリメントを活用するのもおすすめです。
忙しくて自分の時間がとれない方におすすめです。

いつでも穏やかな自分でいるために。忙しい女性をサポートするサプリメント

生理前の食事のサポートとして、サプリメントを取り入れることも一つの選択肢です。

「ルミエル」は女性をサポートするハーブとして知られるチェストツリー(チェストベリー)を、1日分1粒あたり40mg配合しています。

生理前に積極的に摂りたい鉄分や、栄養機能食品としての基準値を満たす量の葉酸も摂取できる、大人の女性にうれしいサプリメントです。

ルミエル
  • 価格:1,180円~1,280円
  • 容量:31粒(1日1粒目安)
  • 形状:ソフトカプセル

生理前の眠気対策はバランスのとれた食事と睡眠環境を整えることが大切

女性ホルモンの変動が引き起こす眠気には、栄養バランスの取れた食事と、良質な睡眠が必要です。

生理前は良質な睡眠をとるのが難しい状態ではあるものの、食事や生活習慣を見直すことで、改善が期待できます。

特に食事ではトリプトファンやビタミンB6を豊富に含む食品を摂取すると、セロトニンの生成が促進され結果的に眠りの質を向上させることができます。

生理前の体調変化に対応しつつ、日常生活の質を保つためにこれらの対策をぜひ取り入れてみてください。